先物協会=記者懇談会を開催

日本商品先物振興協会(以下、先物協会)は7日、日本商品取引記者クラブならび椙之森記者クラブとの記者懇談会を開催した。

東京穀物商品取引所が60年の歴史に幕を閉じ、農産物市場がそれぞれ改称される東京商品取引所と大阪堂島商品取引所に移管される2月12日を控えるなか懇談会は行われた。

業界にとっても大きな転換点となる取引所再編の第一歩を控え、先物協会のこれかの活動について、懇談会で活発な質疑応答がなされた。

なお、先物協会からは岡地和道会長(岡地社長)、車田直昭副会長(ドットコモディティ会長)、二家勝明理事(日産センチュリー証券相談役)、杉原吉兼常務理事が出席した。

主な内容は以下のとおり。

――商品先物市場の機能と役割は、世界的にも国内的にも今後将来にわたって存在意義と利用価値が高まるのは必死です。金はもちろん、エネルギー、食料などの価格形成が経済全体の中で決定的に重要だからです。それほどに重要な市場の担い手である当業界と貴協会は自らの業に対する自覚を持って今こそ社会にその存在をアピールする時だと考えられますが、そうした方策への取組への具体案はおありでしょうか。

岡地会長:世界的にも商品先物市場の存在はたいへん大きくなっています。また、商品先物市場が重要な産業インフラとしてだけでなく、資産運用の場としても重要な役割を担っていることは事実だと思います。

日本ではそのあいだに、規制強化等の影響があり、そのことが市場の縮小に繋がってしまいました。しかしながら、商品先物の重要性そのものは認識されています。先物協会や商先業者だけでなく、業界全体のテーマであり、取引所ももちろんだが、主務省も巻き込んで商品先物市場を復興させなければいけないと思います。

先物協会としては関連サイトの支援や、講師宅配便の実施、商品先物関連の出版物の刊行、パンフレットの作成、大学への寄付講座の拡充、などの施策をまずしっかりとやっていくことが重要ではないでしょうか。

2月12日には東京穀物商品取引所の建玉が移管され、取引所が2ヶ所に集約されます。かつてのように全国に市場があリ取引されていた頃とは違い、東工取に出来高のほとんどが集約することとなリますので、市場振興や広報活動をより一層新生東京商品取引所と連携しながらやっていく必要があります。

また、市場の存在をいくらアピールしても、市場そのものが機能していなければ意味がありません。金は流動性に問題がありませんが、それ以外の市場では流動性がかけている側面があります。金以外の市場においても、産業インフラとしてのニーズはあります。商品先物市場の存在意義をアピールしていくためには、流動性のない市場も含めて幅広く活性化していくことが重要だと思います。

市場の活性化については、例えば、金に目が向いている一般投資家にたいして、他の商品にどのようにしたら目を向けてもらえるのかといった問題があります。外務員数が2,500人程度と減少しており、投資家に対し、説明することができる外務員も少なくなっていると思います。

商品設計や制度面だけでなく、さまざまな面で取引所と連携して対応していきたいと思っています。

――商先法の省令が改正されて二ヶ月が経過しましたが、出来高の増加につながるような気配は感じられますか。また、省令改正により、営業の現場では何か変化が感じられたという声はありますでしょうか。

岡地会長:先に開かれた産構審では、市場の活性化について焦点が当てられ議論されたことは歓迎すべきことでした。残念ながら不招請勧誘の全面撤廃という結果は得られませんでしたが、いくつかの点で緩和の方向に向かったのは大きな前進であると考えています。

今回の改正の内容については、限定的ではあるものの対象となる会員は積極的に活用していく動きがあるようです。営業の現場においても前向きに捉えられておりますが、まだ2ヶ月ということで、まだ判断するには時期尚早です。半年から一年程度は検証に時間がかかると思いますが、先物協会としても効果を検証した上で、有効であり、かつ紛議トラブルも増えていないということであれば、次の見直しにつながるように働きかけをしていきたいと思っています。

――東京商品取引所及び大阪堂島商品取引所に移管される農産物市場について、先物協会としては具体的にどのような市場振興をお考えでしょうか。

岡地会長:砂糖市場は現時点で取り組みが400枚ほどと危機的な状況にありますが、大豆やトウモロコシ市場についてはまだ取組もそれなりにあり、東工取も農産物市場の振興を積極的にやっていこうとしているのが感じられます。

東穀取の会員数は東工取に比べて少なかったので、東工取に移管されることにより、既存の東穀取に加入していた会員以外の新たなプレイヤーに参入してもらうことが出来れば、相乗効果があると思います。

取引所としてやるべきことと、業者としてやるべきことがそれぞれあると思いますが、重複している部分については取引所と連携しながらやっていきたいと思います。

 

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