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窮乏化する国内市場


再生へのアプローチとは?

 

 8月=9万6942枚、9月=9万5082枚、10月=8万1513枚…これはいうまでもなく今年8月以降の月別一日平均出来高の推移である。8月に昨年7月以来13ヵ月ぶりに10万枚の大台を割り込んだ一日平均はその後も連続で減少。今月に入るとさらに減速し、5営業日(8日現在)時点で8万枚をも下回って、薄商いに一段と拍車がかかる展開となっている。文字通り、商品先物からの投機離れはブレーキを失ったかの如き様相を呈している。この最大の要因が金をはじめとする貴金属の出来高減であるが、1―11月累計で全体の72・9%を占める貴金属が不振となれば国内市場の縮小に歯止めがかからないのは必定とはいえる。

 

投機離散に拍車

 

 年初来累計は10月現在で前年同期比6・6%増とかろうじて拡大基調を継続しているが、ここへきての4ヵ月連続減少に加え、9月以降は月間出来高が200万枚を下回る状態が続いており、かりに現行ペースで今後も推移するとすれば、最悪、1986年以来26年ぶりの低水準だった昨年並みの年間出来高となるという想定外の事態にすら至っているのが国内市場の現状である。直近4ヵ月間の貴金属以外の出来高をみても50―60万枚どころでの上下動を繰り返しており、やはり金を軸とした(金依存の)市場構造がむしろ強まっていることが明白である。少なくともここまでの経緯を振り返る限り、アベノミクスは商品先物には為替の円安転換などはあったもののほとんど何らの波及効果はなかったということになりそうである。

 

 そもそも、アベノミクスがあろうがなかろうが、商品先物が日本の産業インフラとして定着し、その機能と役割が産業政策の一環として然るべき立ち位置を占めるとともに、それゆえに社会に認知され、公正な価格形成を通じた当業者のヘッジや広範な大衆レベルの資産運用手段(対象)というかたちでの、幅広い浸透が実現しているなら、目先的な強弱はあったとしても、そのマーケッットが唯々一方的に衰退や縮小に向かい続けるということはなかったハズである。主務行政による規制一発で市場と業界がその存立基盤を根こそぎ喪失するなどという悲劇(もはや、これを悲劇というべきか、それとも喜劇というべきかは定かではないが)は、先物システムを通した自前の価格発見(発信)力が空洞化することによる国民的損失を、国民的であるにもかかわらず、ほぼ完全なる社会的無関心として、何らの行政的手立てもないままに放置されるという結果を招いている。

 

弱体化の結果が

 

 冒頭でも触れた通り、足元の出来高急減は金を中心とした貴金属への投機人気後退にある。確かに指標となるニューヨーク市場など国際市況が安値圏での小動きを余儀なくされるなか、米FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和の縮小から停止見通しを背景に、先高期待より先安懸念が根強いうえに、中印などのいわゆる新興経済圏の成長鈍化が金の購買意欲を相殺するといったことが、相場軟調による投機ニーズの減退に繋がっている。しかし、たとえば金を軸とした資産運用の有用性を業界が社会に対して適確に、かつ永続的にアピールすることができているなら、短期的な価格の強弱とは関係なく、むしろ従来の日本人の金に対する投資行動である「逆張り」(安値で買い高値で売る)ゆえに、現在の相場つきならむしろ買い人気が強まっていたハズではないか。

 

 ところが、現実にはいま金へのシフトは完全に売り(弱気)が大勢となっている。財務省がまとめた4-9月の貿易統計によると、金の海外流出量は約37・3トンと前年同期の2・1倍に達している。この点だけは、アペノミクスにおける日銀による異次元の金融緩和に伴う円安進行で、円建て価格が上昇した場面で現物を換金売りするという”効果”があったことになる。通常、金は「弱い経済から強い経済に移動する」という。金を軸に考える限り、アペノミクスは日本経済の再生よりも弱体化を招いているということになるのだろうか。

 

全ては東商取次第

 

 さて、ここまで窮乏化した国内商品先物市場については、何らかのテコ入れ(市場振興策など)が必要なのは当然である。かりに何もしないというのなら、業としての自己否定であり、主務行政としてはここまでの規制強化が何をもたらしたかがもはや明白である以上、商品先物取引のシステムと機能(役割)を法制度的に否定できない以上、監督官庁としての行政責任を問われるのは必至である。東京商品取引所(江崎格社長)は8日、エネルギー商品のためのOTC(店頭市場)の運営会社を年内中にシンガポールでギンガーペトロリアムを設立すると発表した。当初は石油製品を相対で取引し、LNGや電力先物の取引も対象に加える方針だ。結局は、LNG、電力先物ともに早期の新規上場へのハードルの高さが今回のOTC市場創設に繋がったといえよう。国内市場の再生は事実上、東商取の発展・拡大と同値である。一部にはオプションの再構築を求める声もあるが、OTCにせよオプションにせよ、肝心の原市場に流動性、ボリュウムがなければほぼ無意味である。急がば回れとはいうが、アプローチが逆でないことを願いたいものだ。

 

 

 

 

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