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国内市場再生は待ったなし


規制の是非巡る論議は終わった

 

 市場縮小の勢いは最早にとどまるところを知らないかのような様相を呈している。11月の一日平均出来高は7万5000枚弱にまで減退。月間ペースでは150万枚前後の薄商いを余儀なくされる事態となり、まさにマーケットーシステムとしての存在理由を問われかねない段階に陥っている。直接の要因は最大の主力商品である金の売買人気後退に尽きる。国際指標であるニューヨーク金(期近)の1トロイオンス=1300ドルを割り込む弱気先行を背景に、東京商品取引所(江崎格社長)の金先物も投機離散に拍車がかかり、標準取引で2万枚に届かない日が現れるまでに至った。金以外に市場を支える商品がないどころか、金人気の後退に伴って他商品の売買すら落ち込むという”負の連鎖”となっている。

 

危機への対処を

 

 こうした国内商品先物市場の縮小・後退が不招請勧誘の禁止に代表される過剰規制にあることは事実である。国内市場の衰退が産業インフラとしての商品先物取引による価格形成(発信)機能喪失に繋がることで、当業者のリスクヘッジ、一般投資家の資産運用といった基本ニーズが果たされないとなれば、国民経済的損失に加え、日本経済の国際競争力(とりわけ市場ビジネス)も低下するとして、業界はもちろんのこと主務省(経済・農水両省)、取引所が音頭を取って、①銘柄(上場商品)の拡大②規制の見直し――に着手する姿勢を示していることは周知の通りである。すでに国内商品先物の総出来高はピーク時の五分の一以下に落ち込んでいる。取引所数も業者(旧商品取引員)数も激減。委託者数も預り証拠金額も減少して、市場(マーケット)自体の消滅の危機に瀕している。

 

 不招請勧誘の禁止だけが市場衰退の要因ではないが、商品先物の取引所取引にターゲッ卜を絞った規制は世界でも類をみないものであり、見直し(緩和)は当然といえるかもしれない。こうしたなか、内開府消費者委員会は11月12日、総合取引所に商品先物取引が上場されることを前提に、「不招請勧誘禁止を緩和すべきではない」とする意見書をまとめた。不招請勧誘の禁止を法制化した商品先物取引法の完全施行(2011年1月)からほぼ3年が経過しようとするなか、緩和に必要な年数か否かはともかく、国民生活センターや日本商品先物取引協会に寄せられたいわゆる苦情件数が激減していることは明白である。

 

問われる商取行政

 

 これまでの、産業構造審議会や先述した内閣府消費者委員会でも同様であるが、商品先物の取引所取引を「悪」と決め付けることで、「トラブルがゼロでなければ認めない」とする弁護士や消費者団体の主張に対し、それらの批判が主務行政に向かうことがないようにすることを至上命題とする行政当局によって、すべての制度論議が「規制ありき」という形で終始するとともに、商取行政の不動の姿勢となってきた。これは、ここ数年の政権交代によっても何ら変更されることがなかったのはすでに見てきた通りである。日本商品先物振興協会(岡地和道会長)は11月19日の理事会で、内閣府消費者委員会の意見書を受けて、「取引所取引に対する不招請勧誘禁止規制の撤廃を求める意見書」をまとめた。業界振興団体としては当然の反論ではあるが、当面は意見表明にとどめ、行政関連機関特定の団体に意見書を提出することはないとしている。

 

 しかし、開催が取り沙汰されてきた産構審の商品先物取引小委員会はいまだ開催のメドすら立っていないのが現状である。同委員会の議論のテーマが、前述した商品先物市場の活性化(銘柄拡大・規制緩和など)となることに反発する委員候補の存在が開催の先送りとなっているとの見方があるものの、それゆえにこそ”平場”での忌憚のない意見交換が必要なのではないか。そもそも、商品先物取引法は規制法ではない。商品先物の取引所取引を法的に否定するのではない限り、国内市場が疲弊して行くことをこれ以上放置するなら、それは行政の自己否定であり、自由主義経済という日本の国家存立の原理・原則そのものの否定というほかない。

 

野垂れ死には論外

 

 それでも、商品先物という市場と業界が行政の無策と一部の有識者(?)の特定の感情論によって野垂れ死にしても良いというのなら、それによってもたらされる事態(国民経済的損失に機会均等による可能性の剥奪など)に対する必要にして十分な論拠を示す責任が、これらの人々にあることだけは明らかにしておかなければなるまい。確かに現時点をみる限り、商品先物取引の利用価値や投資興味は乏しいかもしれない。しかし、米国の政治的経済的な国力低下(地盤沈下)によって、国際社会全体のパワー・オブーバランスの不安定化か急速に進んでいる。中国の台頭、ロシアの不透明な動向、インドその他の新興経済圏の急成長を背景に、農産物や干不ルギーの価格は絶えず乱高下のリスクに直面している。それらを映す鏡としての金を筆頭とする貴金属やその他の原材料市況が交差する商品先物市場の機能と役割は世界的に拡大する一方だ。その埓外に日本と日本人が置かれて良い筈がない。国内市場の再生は待つたなしである。

 

 

 

 

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