日産証券グループは19日、PBR（株価純資産倍率）1倍超の達成に向けた経営計画を更新した。強みの金事業と法人事業で収益力を高め、課題であるROE（自己資本利益率）の改善を急ぐ。積極的な株主還元も継続し、企業価値向上を目指す。
同社の2025年3月期のPBRは0.77倍、ROEは2.67%だった。ROEは認識する資本コスト「4〜7%程度」を下回る。これを重要な経営課題と捉え、資本効率と収益性を高める具体的な取り組みを明示した。PBR1倍を超える水準の安定的維持が目標。
収益力強化の柱の一つが「金」関連事業だ。金地金取引やデリバティブ、純金積立など幅広い商品群を持つ。24年には大阪取引所の「貴金属市場プロモーション支援キャンペーン」で、個人取引の増加数量・率で第1位となり表彰された。この強みを生かし、中核事業としてさらに伸ばす。
もう一つの柱はホールセール（法人向け）事業である。国内全てのデリバティブ市場を網羅する体制とITインフラを強みに、海外投資家などの取引を拡大。投資資金を融資するマージンファイナンスの残高は80億円を突破するなど、成長が著しい。
株主還元策も重視する。配当性向は3年連続で60%を超えており、安定した配当を基本方針とする。24年8月に続き25年5月にも自己株式の取得を決議するなど、資本効率の向上と株主への利益還元に継続して取り組む姿勢を示した。
経営基盤の強化も進める。取締役7名のうち半数を超える4名を社外取締役が占めるなど、ガバナンス体制を強化。決算説明資料の開示拡充や個人投資家向け説明会の開催など、市場との対話を通じた信頼性向上にも注力する。
