AIゴールド証券、店頭商品CFD開始=取引期限なく長期投資に対応

 AIゴールド証券は7日、新たな店頭商品デリバティブ取引「MTcX」の提供を開始した。世界的に普及する取引プラットフォーム「MT5」を採用し、金や原油などを対象に取引期限のない差金決済取引(CFD)で個人の長期投資需要を開拓する。インフレ懸念を背景に商品投資への関心が高まるなか、投資家の裾野を広げたい考えだ。

 新サービスの最大の特徴は、決済期限を設けていない点にある。一般的な商品先物取引では、長期保有の際に限月を乗り換えるロールオーバーの手間とコストが発生した。期限をなくすことで、短期売買だけでなく、インフレヘッジなど長期的な資産防衛を目的とした運用戦略が組みやすくなる。

 参入の背景には、世界的な商品(コモディティ)市況への関心の高まりがある。長期化するインフレや地政学リスクの高まりを受け、金は安全資産として、原油は経済動向を占う指標として注目を集めている。同社は既存のFXや株価指数CFDに加え、商品CFDを投入することで、多様化する投資家のポートフォリオ構築ニーズに応える構え。

 取引システムには、世界中の投資家が利用する高機能プラットフォーム「MetaTrader 5(MT5)」を採用した。高度なチャート分析機能に加え、エキスパート・アドバイザー(EA)と呼ばれる自動売買プログラムを利用できるのが強み。経験豊富な投資家から初心者まで幅広い層の利便性向上を図る。

 取扱銘柄は金、銀、WTI原油、天然ガスの4つ。預託した証拠金の最大20倍の取引ができるレバレッジが利用可能で、取引手数料は無料とした。ただ、商品CFD市場はネット証券各社がしのぎを削る激戦区。投資家にとっては、売値と買値の差であるスプレッドが実質的なコストとなり、その水準が競争力を左右しそうだ。

 取引は同社と投資家が直接契約する相対取引であり、投資家は同社の信用リスクを負う。投資家保護の観点から、リスク管理の仕組みも設けた。証拠金維持率が100%を下回ると追加証拠金(追証)が発生。50%を下回った場合は、損失の拡大を防ぐため保有ポジションが強制決済(ロスカット)される。

 新サービスの利用には専用口座の開設が別途必要となる。取引で得た利益は、申告分離課税の対象。

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