日本取引所グループ(JPX)が29日発表した2025年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比6.9%増の345億円となり、上半期として過去最高を更新した。世界的な金融引き締めや地政学リスクの高まりを背景にデリバティブ取引が活況を呈したほか、堅調な株式相場も収益を押し上げた。
業績の牽引役はデリバティブ(金融派生商品)事業だ。関連収益は32.1%増の230億円に達した。国内外の金融政策の先行き不透明感から、投資家が金利変動リスクを回避するための国債先物などを積極活用。有事における市場インフラとしての機能が改めて脚光を浴びた格好だ。
本業である現物株関連の事業も堅調だった。株式市場の活況を映し、売買手数料にあたる取引収益は9.6%増の242億円に。活発な取引を背景に清算事業も79億円の収益を確保し、収益基盤の厚みを示した。
デリバティブの中でも金や原油などを対象とする商品関連は、収益が34.5%増の8億8100万円となった。収益規模こそ小さいものの、国際情勢の緊迫化が続くなかで価格変動リスクを管理する場として存在感を高めている。
JPXは2026年3月期の通期業績予想を上方修正した。市場の不透明感は、裏を返せばJPXにとってはリスクヘッジ需要を取り込む好機となる。デリバティブ市場の活況が当面続くとみており、営業収益を1760億円、純利益を650億円にそれぞれ引き上げた。


