日本取引所グループ(JPX)傘下のJPX総研は5日、適時開示情報伝達システム(TDnet)をアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウド基盤へ移行すると発表した。生成AIによる開示資料の作成支援も手掛け、金融・情報基盤の高度化を急ぐ。
株式市場の根幹をなすTDnetをクラウドへ移す。売買システムに次ぐ重要性を持つ準基幹システムの位置づけだ。今回の移行でシステムの安定性と災害への耐性を高める。AWSの東京と大阪の拠点を活用した二重の体制で、大規模災害時も情報伝達を維持。サイバー攻撃対策も強化する。
上場企業の情報開示業務の負担増が課題だった。これに対応し、生成AIなどを活用した開示資料の作成支援サービスを新たに実装する。将来的には資料作成から配信までを継ぎ目なく行える統合環境の実現を目指す。開発は富士通と協力して進める。
投資家への情報提供も高度化する。グループが持つ市場データなどを一元管理する新基盤「J-LAKE」を構築。AIで膨大な開示資料を分析し、投資家が必要な情報を探しやすくする。新たな投資機会の発見にも繋がる見込みだ。
内製開発体制の強化で、変化へ迅速に対応する。カーボン・クレジット市場のシステムなどを短期間で開発した実績も。AWSとの連携を深め、中期経営計画で掲げる「グローバルな総合金融・情報プラットフォーム」の実現を加速させる方針。

