日本商品委託者保護基金が公表した会員主要指標によると、商品先物取引業者ら会員企業の2025年9月の営業損益は104億2400万円の黒字だった。前月から約2.4倍(144.8%増)に急拡大した。相場変動を背景に顧客取引が活発化し、受取手数料が59.6%増と大幅に伸びたことが寄与した。委託者からの預かり資産も2割近く増加しており、投資家の資金流入が続いている。
9月の営業収益は前月比36.8%増の277億2300万円だった。収益の柱となる受取手数料は116億6500万円と、前月から6割近く(59.6%増)増加した。一方、自己売買に伴うトレーディング損益は14億6000万円にとどまり、前月(37億7200万円)から61.3%縮小した。顧客フロー主導の収益構造が鮮明となったことで、営業費用(12.4%増)の増加を吸収し、大幅な増益を達成した。純利益は50.9%増の55億8100万円だった。
投資家の取引意欲は旺盛だ。顧客資産の動向を示す「委託者純負債及び顧客純負債」は3465億5500万円となり、前月から18.6%増加した。商品市場への関心の高まりを受け、新規資金の流入や建玉の積み増しが進んでいるとみられる。会員企業の財務基盤も強化されており、純資産額は3132億6400万円と前月から1.8%(約55億円)積み上がった。
業界全体の会員数は17社、役職員数は2927人で前月からほぼ横ばい(0.1%増)で推移している。固定費が増加しにくい中でトップライン(売上高)が伸長したことが、利益率の改善につながった。市場のボラティリティ(変動率)が高まる局面で、リスクヘッジや収益機会を求める投資家需要を確実に取り込めるかが、今後の業績持続のカギを握る。


