米当局、金価格操作の個人責任を「追撃」=CFTC、JPモルガン元幹部を取引禁止

 米商品先物取引委員会(CFTC)は16日、貴金属市場で不正操作に関与したJPモルガン・チェースの元トレーダー2人に対し、民事制裁金と取引禁止処分が確定したと発表した。刑事裁判での実刑判決に続き、市場からの「追放」と金銭的ペナルティを上乗せすることで、個人の責任を徹底的に追及する姿勢を示した。

 処分が確定したのは、かつて同社の貴金属デスクを率いたマイケル・ノワック氏と元トレーダーのグレッグ・スミス氏だ。両氏は約定させる意図のない注文を大量に見せかける「スプーフィング(見せ玉)」を繰り返し、金や銀の価格を不正に動かしていた。今回の決定により、スミス氏は20万ドル(約3000万円)の制裁金と3年間の取引禁止、ノワック氏は15万ドルの制裁金と6カ月間の取引禁止を受ける。

 本件は、米司法省による刑事訴追と並行して進められてきた。両氏は2023年に詐欺罪などで実刑判決(スミス氏は禁錮2年、ノワック氏は禁錮1年1日)を受けている。CFTCは「刑務所行き」だけでは不十分と判断し、刑期を終えた後も即座に業界へ復帰できないよう、民事面でも厳しい措置を講じた形だ。

 当局は同日、市場の公平性を揺るがす他の不正についても処分を発表した。エネルギー市場で大口注文の情報を悪用し、先回りして利益を得ていたピーター・ミラー氏らには、不当利益の全額返還と制裁金を命令。また、暗号資産(仮想通貨)で運用実態がないにもかかわらず1000万ドルを集めた「ポンジ・スキーム」の疑いで、ウルフ・キャピタルなどを提訴した。

 いずれの事件も、刑事罰での立件にとどまらず、規制当局が民事処分で「ダメ押し」を行うことで、市場参加者に対するコンプライアンス順守の圧力を強めている。

 

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