ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が4日発表した2025年の世界プラチナ需給報告によると、同年の供給不足幅は108万2000オンスとなり、3年連続で不足した。不足幅は2023年以降、段階的に拡大しており、現行の統計を開始した2013年以降で最大となった。旺盛な投資需要が需給バランスを押し下げ、地上在庫が持続不可能な低水準まで減少している。
2025年の総需要は前年比3%増の828万4000オンスに達した。分野別では、自動車向けが前年比1%増の331万オンスと堅調に推移した。ガソリン車向け触媒でのパラジウムからの代替需要が引き続き下支えしたほか、ハイブリッド車の普及も寄与した。産業向け需要は、ガラスや化学分野での設備増強を背景に同3%増の251万9000オンスとなった。宝飾向けもインド市場の成長により、同3%増の191万5000オンスを記録した。
市場の注目を集めるのは投資需要の変容だ。2025年の投資向けは54万オンスとなり、上場投資信託(ETF)への資金流入が加速した。WPICは、地政学的リスクの増大が貴金属全般への投資家心理を好転させたと分析する。供給不足の継続と在庫枯渇への懸念が価格を押し上げ、2025年中のプラチナ価格は年間を通じて2倍以上に上昇した。WPICは、こうした価格高騰がさらなる投資を呼び込む「順張り」の動きが鮮明になったとの見方を示す。
供給面では、2025年の総供給量は720万1000オンスにとどまった。鉱山生産は南アフリカでの操業安定により前年比2%増の554万1000オンスとなったが、リサイクル供給が166万オンスと低迷した。使用済み自動車触媒の回収が遅延しており、供給全体を押し下げる要因となっている。需要超過分は地上在庫の取り崩しで賄われており、在庫水準の低下が市場のボラティリティを一段と高めている。
WPICは2026年の予測について、当初の「均衡」予想から24万オンスの供給不足へと大幅に修正した。従来想定していた利益確定売りによるETFの残高減少が起こらず、投資家が保有を維持するとの見通しに転じた。貿易摩擦への懸念から取引所在庫が高止まりすることも需給を圧迫する。地上在庫が底を突くなか、マクロ経済の不透明感が貴金属市場への資金流入を一段と促し、需給の逼迫が長期化する可能性が強まっている。

