金地金の販売・買取りを手がけるUNBANKEDは16日、100グラム単位で売買できる新サービス「UNBゴールド」を5月7日から開始すると発表した。金価格の高騰で投資ハードルが上がる中、少額からの金投資を可能にし、ブロックチェーン技術を活用した安全な保管サービスも提供する。
現在の金相場は史上最高値圏を推移し、1グラムあたり税込み1万6000円超。かつては「一攫千金」のギャンブル的投資とも揶揄された金取引が、いまや資産防衛の本命として脚光を浴びている。だが、UNBANKEDの従来サービスでは1キログラムバー単位の取引が原則。最低投資額1600万円超という高いハードルが、一般投資家の参入を阻んでいた格好だ。
「金は欲しいけど、手が届かない」。そんな声に応えるのが今回の新サービスである。100グラム単位の取引が可能となり、約160万円から金投資の扉が開く。スマホ一つで完結する投資サービスが乱立する昨今、敢えて対面・電話での注文受付を維持するのも特徴的だ。複雑な相場状況での判断に不安を感じる投資初心者には、むしろ安心材料となるかもしれない。
金投資の悩みの種は何か。現物を購入した場合の「保管」の問題だ。自宅に金塊を置くのは盗難リスクが高く、かといって貸金庫は手間とコストがかかる。新サービスではこの課題にも切り込んだ。顧客の金地金は国内倉庫で無料保管され、名義上も物理的にも分別管理される仕組み。安全性と利便性を両立させた点は評価できるだろう。
技術面では、ブロックチェーンの採用が目を引く。UNBANKEDの持分法適用会社関連の日本クラウド証券が「Progmat SaaS」を導入し、取引・残高管理を担う。ひと昔前なら「金」と「ブロックチェーン」という組み合わせに違和感があったかもしれないが、最古の投資対象と最新技術の融合は時代の必然だろう。
いま金相場は、円安やインフレ懸念、地政学リスクの高まりを受け、強気の展開が続いている。「金は値上がりするから買いたい」。こうした投機的動機に加え、「ポートフォリオの一部に組み入れたい」という資産分散ニーズも高まっている。敷居を下げることで、潜在顧客の掘り起こしを図るUNBANKEDの戦略は、まさに「金」と「時」の利を得た展開かもしれない。