金価格、25年後半も高値圏か=WGCが見通し、景気次第で変動

 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は、2025年上半期に金価格が26%上昇したと発表した。下半期は経済の先行きによって変動するとの見方を示し、景気が悪化すれば一段高、リスクが解消されれば下落する可能性を指摘した。

 2025年上半期の金価格は記録的な上昇となった。背景にあるのは「ドル安」と「リスクの高まり」だ。米国の経済的な優位性への懸念からドルが売られ、安全な資産とされる金の需要が強まった。地政学的な不安も投資家の金買いを後押しした。

 WGCは下半期の価格動向について、3つのシナリオを示す。まず、市場の基本的な見方である「継続的な正常化」シナリオでは、価格は横ばい圏で推移する。世界経済が緩やかに成長し、米連邦準備理事会(FRB)が年末に利下げに転じるとの見方が背景にある。

 一方、景気が想定より悪化すれば価格は一段と上昇する可能性がある。スタグフレーションなどが懸念される「ブルケース(強気シナリオ)」では10%から15%の上昇を予測する。安全資産を求める資金がさらに金へ向かうためだ。

 反対に、地政学リスクが解消に向かう「ベアケース(弱気シナリオ)」では12%から17%の下落もあり得るとした。投資家がリスクを取りやすくなり、金から資金が流出する展開だ。ただ、WGCはこのシナリオの実現可能性は低いとみている。

 WGCは、金ETF(上場投資信託)の保有量は過去のピークを下回っており、投資家が買い増す余地は残っていると分析する。高値による消費の減退懸念はあるものの、金を取り巻く基礎的な条件は依然として強いとの見方を示した。

 

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