第一プレミア証券の登録取り消し=金融庁、欠格者の経営関与隠蔽

 関東財務局は3日、第一プレミア証券(東京・渋谷)の金融商品取引業者の登録を取り消した。過去に行政処分を受けた人物の経営関与を当局に隠蔽し、虚偽の報告を行ったため。同社は2026年2月末で全事業を終了する。

 今回下されたのは、金融商品取引法に基づく最も重い行政処分である「登録取り消し」だ。併せて業務改善命令も発出した。同社は経営陣のコンプライアンス意識が著しく欠如しており、金融商品取引業を公正かつ的確に遂行する資質がないと判断された。これを受け、第一プレミア証券は廃業を決定。顧客資産の返還を進める方針を公表した。

 処分の主因は、法令違反による処分歴があり、法的に金融業への関与が禁じられている「登録拒否要件」に該当する外部関係者の不適切な経営参加だ。同社経営陣は2023年12月ごろ、連続赤字からの脱却を目指し、この人物から新規事業の提案を受けた。同氏が過去に無登録営業で処分を受けた事実を認識しながら、収益拡大を優先して事実上の経営幹部として迎え入れた。

 悪質性が高いのは、当局の監視を逃れるための組織的な隠蔽工作である。経営陣は外部関係者の関与を取締役会で秘匿したほか、関東財務局からの報告徴取命令に対し「株主による経営参加の予定はない」と虚偽の回答を行った。2016年の業務改善命令で設置を約束した外部有識者による検討委員会も機能せず、再発防止策が形骸化していた実態も露見した。

 今回の処分は、経営難にある中小証券会社が、収益確保のために法令順守を犠牲にする「モラルハザード」に対し、当局が厳格な姿勢を示したものといえる。実質的な支配者が誰であるかを問うガバナンスの欠如は、投資家保護の根幹を揺るがす重大な問題だ。金融庁は形式的な役員構成だけでなく、実態としての経営支配権の所在について監視を強めている。

 第一プレミア証券は今後、顧客対応と資産返還に専念する。現物株やNISA(少額投資非課税制度)口座の預かり資産については、売却または他社への移管を求めている。株式等の売却・移管期限は26年1月23日、信用取引等の決済期限は同1月30日までとした。26年2月28日の事業終了までに、顧客取引の結了を目指す。

 

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