ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)は、プラチナの2~5年先供給・需要見通しを更新し、2027~30年に平均34万8000オンス(約10.8トン)の市場赤字が続くとした。2025年の127%価格急騰が供給増と需要抑制を促す形で赤字幅は縮小。地上在庫49%枯渇の構造的逼迫が続く中、投資家心理はディフェンシブ需要で支えられる。
プラチナ価格は2025年5月の1000ドル未満から2400ドル超へ急反発した。この背景には3年連続赤字による在庫取り崩しに加え、米国のベネズエラ介入やFRB独立性懸念などマクロ不確実性がある。2026年は均衡市場へ移行するが、在庫再建には至らず、リースレート高止まりとOTCバックワーデーションが需給逼迫を示す。本紙分析では、この物理的タイトさが価格下支え要因として機能し続け、短期調整リスクを抑制する可能性が高い。
供給面では総供給が25~30年に0.9%CAGRで増加。リサイクル供給(主に自動車触媒)が3.4%成長を牽引し、鉱山供給は南アフリカ中心に0.1%微増にとどまる。高価格で鉱山利益が改善し、シバニエのブラウンフィールド投資やインパラのTwo Rivers再開が期待されるが、新規鉱山は8~12年要する。WPIC見通しは公表ガイダンス中心のため、上方修正余地が残る点に注目。地政学リスクを考慮すれば、南ア依存の供給構造は投資家にとってボラティリティ要因だ。
需要は-0.7%CAGRで減少。自動車需要はBEV拡大とPd代替で年1%減少し、2.0Moz(2025)から2.6Moz(30年)へ。宝飾需要は価格弾力性で抑制されるが、金との2000ドル差が相対優位を維持し、ブライダル市場でシェア奪取余地。中国宝飾リサイクルはVAT改定で上振れ要因となる。投資需要は歴史平均633kozで安定推移。マクロ不確実性下で金・銀に続くプラチナの「安全資産」化が進む中、本紙はETF流入加速を予測する。
パラジウムは26年から黒字転換し、プラチナとの市場乖離が鮮明化。投資家は赤字構造のプラチナを優先すべきだ。価格調整リスクはあるが、AGS枯渇と多様な需要基盤が長期上昇を支える。金トレーダー視点では、PGMバスケットの再評価がポートフォリオ多様化の好機となる。

