日産証券G、中間決算は減益=主力のデリバティブ不振、FinTechは急成長

 日産証券グループが30日に発表した2026年3月期中間連結決算の見通しは、主力のデリバティブ取引の不振が響き減収減益となった。一方、子会社が展開するフィンテック事業の貸出残高は100億円を突破し急成長を遂げている。本業の立て直しと並行し、新たな収益の柱を育成する。

 減益の主因は、主力事業であるデリバティブ取引の落ち込みだ。取引高は前年同期比83.2%にとどまり、受入手数料は同4.9%減となった。株式の売買代金は同17.3%増と伸長したものの、主力の不振を補いきれなかった。この結果、2026年3月期第2四半期(4〜9月)の連結営業収益は同6.0%減の37億5900万円、営業利益は同22.3%減の4億5900万円となる見込みだ。親会社株主に帰属する中間純利益は、金融商品取引責任準備金の繰り入れが減ったことなどから、同4.2%減の3億8000万円と減益幅は圧縮された。

 本業が伸び悩むなか、新たな収益源が台頭してきた。子会社のNS FinTech(東京・中央)が2020年から手掛ける「マージンファイナンスサービス」の貸出残高が、2025年9月末に100億円を突破した。これはプロ投資家の運用手法などを評価して短期資金を供給する独自の融資モデル。海外法人などの旺盛な資金需要を取り込み、残高はこの1年で10倍に急拡大した。

 同事業の成長はグループ内に好循環を生んでいる。貸付債権を証券化し、中核子会社の日産証券が「利回りファンド」として個人投資家向けに販売。こちらの運用残高も30億円を超えた。ITインフラと金融を融合したサービスで海外ヘッジファンドの日本市場参入を促すなど、事業拡大の牽引役としての期待は大きい。

 あわせて、2022年に解散を決議していた子会社の岡藤商事(東京・中央)の清算手続きが30日付で完了したと発表した。連結業績への影響は軽微だが、個別決算では関係会社清算益として2億9800万円を特別利益に計上する見込みだ。

 

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