プラチナ、需給逼迫の構図続く=WPIC、26年均衡予測も不確実性

 ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)は19日、2025年第3四半期版の報告書「プラチナ・クオータリー」を発行した。25年の世界需給は3年連続となる22トンの大幅な供給不足に陥ると予測。26年には需給が均衡するとの見通しを示したが、その実現には米国の通商政策など不確実な要素が多く、市場の逼迫感は当面続くとの見方が強い。

 2025年の総供給量は、南アフリカなど主要生産国での鉱山生産の停滞が響き、前年比2%減の222トンにとどまる見込みだ。価格上昇を受けてリサイクル供給は増加するものの、構造的な問題を抱える鉱山生産の落ち込みを補うには至らない。供給サイドの硬直性が浮き彫りとなった形だ。

 一方、総需要は243トンと予測。ガラス部門の循環的な需要減で産業需要は落ち込むが、自動車向けは電気自動車(EV)への移行が進む中でも堅調さを維持し、過去5年の平均を上回る。金に対する価格の割安感から宝飾品需要も7年ぶりの高水準が見込まれ、需要の裾野の広さが市場を下支えする構図だ。

 焦点となる2026年の需給予測は、0.6トンの小幅な供給余剰へと転じる。しかし、これは米国の関税を巡る懸念が和らぐことを前提に、投資需要が25年から半減するシナリオに基づいている。取引所在庫からの資金流出や、価格上昇に伴う上場投資信託(ETF)の利益確定売りを織り込んだもので、プラチナのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の悪化を意味するわけではない。

 WPICのレイモンドCEOが「貿易摩擦が続けば26年も供給不足の可能性がある」と指摘するように、26年の需給均衡は楽観的な想定に依存している面がある。ロンドン市場ではリース料率が高止まりしており、これは現物のプラチナが不足している実態を映す鏡だ。見かけ上の需給バランスが均衡に向かうとしても、地金不足という根本的な構造は変わらず、価格への上昇圧力は今後も継続する可能性が高い。

 

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