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市場振興は急務だが


金頼み脱却にはジレンマも

 参院選挙(7月21日投開票)は事前予想通り、与党(自民・公明)が昨年末の衆院総選挙に引き続く地滑り的大勝となり、一気に衆参ねじれ状態が解消。安倍自公政権はアペノミクスと呼ばれる経済政策を筆頭に、政策遂行のためのフリーハンドを得た格好だ。しかし、投票率は52・61%と前回(2010年)を5・3ポイント下回った。経済格差の拡大、東日本大震災からの復興、原発問題、TPP、消費増税など、争点満載の国政選挙だったハズなのに、与党による争点隠しと民主党自滅に起因する野党分裂で、政権信認選挙に終始してしまった。さて、選挙と商品先物市場に直接の連関は乏しいが、円相場、インフレターゲット、コメ試験上場の行方なども含め、陰に陽に微妙な影響を与えることにはなりそうだ。

 

足元は夏枯れに

 日本という国のありようの先行きはともかく、国内商品先物は依然として停滞と不振の只中にある。今年1~6月(上半期)の商品先物総出来高(オプション取引除く)は1614万2524枚と前年同期比17・6%増加した。一日平均出来高(120営某日)なら13万4521枚と同20・5%の増加率となっている。もっとも、昨年の出来高(通年)が1986年以来26年ぶりの低水準だったことを考慮すれば、ようやく前々年(21年)のレベルに近づいたというに過ぎないのが実情ではある。しかも一時は30万枚割れ寸前にまで後退していた総取組高も、7月入り以降は32万枚前後にまで回復してきたとはいえ、国内市場の流動性は縮小したままである。事実、下半期に入ると同時に一日平均は10万枚トビ台にまで急減してきた。

 

 市場(流動性)拡大が恒常的な業界課題となるなかで、取引振興のために様々な取り組みが行われてはいる。しかし、端的で速効性のある具体策があるわけもなく、PR(広報)・啓蒙活動に必要な資金(コスト)不足に加え、不招請勧誘の禁止という法制の壁のなかで、講演会などを通じた投機ニーズの掘り起こしも、社会全体の市場参加に繋るまでの成果は得られていないのが現実である。ネ。卜全盛の時代にあって、商品先物を不招請勧誘の禁止や、厳格な適合性原則の適用対象とすることは、法的差別であり、とりわけ一般(個人)投資家の市場からの排除という意味で、商取行政の不合理性を際立たせているといわざるを得ない。

 

決定打は乏しい

 こうした行政による先物無策ともいうべき状況のなかで、上半期の商品別出来高をみると、金(標準、ミニ取引)が896万8188枚で全体の55・6%を占めている。つまり、金の増減が国内市場の強弱を握っており、事実上金次第のマーケットになっているのは周知の通りである。市場振興(流動性拡大)が焦眉の課題であることを受けて、日本商品先物振興協会(岡地和道会長)は6月19日の通常総会開催と同時に、従来の常設委員会である市場戦略統合委員会を改組して、総合政策委員会(岡地和道委員長)と市場振興委員会(車田直昭委員長)を設置。7月19日の理事会で委員(各8名)を選任し、始動した。

 

 とりわけ、市場振興委は早急な振興策が求められており、具体策の提起が待たれるところだ。岡地会長も金に左右される現状を踏まえ、「金以外の商品の活性化が必要」との認識を強調している。これまでは個別テーマごとに振興策を検討する場を設けていたが、取引所や中央団体を含めたオブザーバーの参加を求めたうえで、委員会を常設化することで機動的な対応を図るとしている。ただ、かつては最も大きなボリユウムを誇ったこともある石油製品(ガソリン、灯油、原油、軽油)の投機人気が低迷する一方、東京穀物商品取引所の解散に前後して農産物(穀物、砂糖)市場が縮小の一途を辿っている。金に次ぐセカンダリー・マーケッ卜の存在が、金の増減に左右されない厚昧のある市場環境の形成に繋るだけに、金以外の商品の売買振興策が急務といえよう。

 

問われる成果

 東京商品取引所(江崎格社長)では7月8日の夜間取引(5~6日分)が16万1245枚と同取引の一日出来高として過去最高となった。また、6月の外国人投資家の売買比率が40・9%となり、これも月間として過去最高を更新した。ただ、夜間取引はともかくとして、外国人の売買比率が高まるのは全体のパイ(市場規模)が縮小しているのだから当然であり、これによって国際化(グローバル化?)が進展していると考える業界人は皆無である。もし本気でそう思っているとしたら、笑止というほかはない。また、大阪堂島商品取引所(岡本安明理事長)は9日の臨時会員総会でコメの試験上場延長の申請を決議。農林水産省に提出した。先物協会にせよ取引所にせよ、それぞれが市場拡大への努力は続いている。しかし、足元の出来高は減退し、国内市場へのマネー流入(6月末の委託証拠金は1082億円)にも勢いはみられない。何か足りないのか、何かの勘違いはないか。業界はあらためて自分の胸に問い直す必要があるのではないか…。

 

 

 

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