東京商品取引所(TOCOM)は7日、2025年3月の電力先物市場の月次動向をまとめた「電力先物マンスリーレポート2025年4月号」を公表した。3月の取引高は1万2600枚に達し、月間取引高として過去最多を更新。これまでの最高記録だった2022年5月の4853枚から2.5倍超となった。
3月の電力先物市場では、約定件数が167件と前月の94件から約1.8倍に増加した。特に注目は3月13日の取引量で、電力換算量で711GWhを記録し、昨年11月の153GWhを大幅に上回った。この日は立会外取引にて東エリアのベースロード25年度年間で計9720枚の約定があった。
取引高の内訳は、東エリア・ベースロードが1万1889枚と最多となり、西エリア・ベースロードが368枚、東エリア・日中ロードが323枚、西エリア・日中ロードが20枚だった。市場関係者からは「大口から小口までプレーヤーの規模に応じた取引がみられた」との声が上がっている。
電力スポット市場では、3月の価格は全エリアで前月から下落した。気温上昇に伴う暖房需要低下で需給が緩和。一方、火力発電の定期点検停止増加や気温変動で価格のボラティリティは大きくなった。
JEPXの電力スポット月間平均価格はエリア別で全9エリアが前月を下回った。前年同月比では北海道と四国を除いて高く、東京は0.38円高、関西は2.12円高となった。
電力需要は全国9地域の合計で前年比3.8%減の719億5298万kWhにとどまった。上旬・下旬は高めの気温で推移し、暖房需要が低下。下旬では関東以西で25度超の夏日となる地域も多かった。
電力先物市場は2025年に入って急拡大しており、1~3月の合計取引高は1万6988枚と、2024年年間の1万4969枚を既に上回った。市場参加者の多様化や電力価格変動リスクへの対応強化が背景にある。
新電力の市場取引担当者からは「小ロットでの取引増加から新電力への先物取引普及が進んでいると実感する」との見方も示されている。