日本取引所グループは28日、2025年3月期の決算を発表した。連結営業収益は1,622億3,000万円となり、前期比6.1%の増収となった。営業利益は901億2,200万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は610億9,200万円で、それぞれ3.1%増、0.4%増と着実な業績拡大を見せた。好調な現物株取引を背景に、取引関連収益や清算関連収益、情報関連収益がともに増加。増益基調を維持した格好だ。
一方、商品デリバティブ取引高は前期比3.9%増の1,840万単位となった。主力の金先物が9.9%増と好調だったものの、原油先物は24.5%減、ゴム先物は44.7%減と、商品による明暗が分かれた。コモディティ・デリバティブ関連の取引料収益は13億9,400万円で前年を5.5%下回り、引き続き市場の活性化が課題となっている。中期経営計画では、商品デリバティブ分野の収益安定化や市場魅力の向上にも注力する方針が掲げられている。
2025年3月期の株券等一日平均売買代金は5兆7,032億円と14.1%増という高水準。ETFの純資産総額増や上場関連の収益も好材料となった。費用面では人件費やシステム投資が増加したが、取引活況による収益増加が費用増を吸収した。期末の現金及び現金同等物は984億2,800万円となり、財務基盤の安定感も維持している。
資本政策ではROE18.3%を達成し、資本効率性を継続的に確保。来期も1株当たり43円の配当や最大200億円の自己株取得を実施予定で、総還元性向は116%程度を見込む。2026年3月期は費用増加により減収減益を予想するが、成長投資や株主還元策を組み合わせ、中長期的な企業価値向上を図る構え。コモディティ・デリバティブについては、金先物の拡大とともに、原油やゴム市場の再活性化が今後の注目点となる。