金ETF、4月に112億ドル流入、アジア主導で過去最高の資金流入と分析=WGC

 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は8日、4月の金ETF市場分析レポートを発表し、世界の金ETFに112億ドルの資金が流入し、5か月連続の資金流入となったと報告した。これは2022年3月以来の最大規模。金価格上昇と継続的な資金流入により、運用資産総額は前月比10%増の3790億ドルに達した。

 地域別では、アジアが過去最高となる73億ドルの資金流入を記録し、世界全体の流入額の65%を占めた。特に中国市場からの資金流入が顕著で、第1四半期全体と2024年通年の流入額を上回る規模となった。背景には米国との貿易摩擦の継続、成長鈍化懸念、株式市場のボラティリティ上昇、人民元安に対する警戒感がある。

 北米市場も45億ドルの堅調な資金流入を維持。2月・3月と比較すると減速したものの、過去最強の4月実績となった。年初来の累積流入額はすでに2020年の歴史的実績を上回るペースで推移している。WGCの分析によれば、金価格の上昇モメンタムと貿易政策をめぐる不確実性がもたらす市場混乱から、投資家が金に資金を向けている。

 一方、欧州市場は8億700万ドルの小幅な資金流出を記録した。主に英国での流出がみられ、スイスとフランスでの流入が一部を相殺した。ECBによる追加利下げや英中銀の利下げ期待から月初は資金流入が見られたが、月末の金価格下落に伴う利益確定売りや株式市場の急回復により、流出に転じた形だ。

 4月の金取引高は世界全体で1日平均4410億ドルに達し、前月比48%増と急増した。LBMA店頭取引は1日1810億ドルと前月比31%増、上海先物取引所は前月比122%増と大幅に拡大。金ETF取引量は規模自体は小さいものの、前月比120%という最大の増加率を記録した。

 WGCは、金価格の継続的な上昇を支える構造的要因として、米国の政策とその影響に対する不確実性、インフレ期待の高まりと金利低下の可能性を挙げている。COMEX金先物の投機的ポジションは、4月末時点で前月比30%減の566トンまで低下しており、これは主に金価格の新記録更新に伴う利益確定売りの影響だとしている。長期的には市場のボラティリティが引き続き金ETFへの資金流入を支えるとの見方を示している。

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