日産証券グループが13日発表した2025年3月期連結決算は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比36.5%減の3億5100万円となった。リテール事業でのデリバティブ取引が低調だったうえ、営業外収益の減少と営業外費用の増加が収益を圧迫した。期末配当は4円と決定し、中間配当5円と合わせた年間配当は9円(前期比0.5円増)とした。
営業収益は前期比4.8%減の73億7300万円、純営業収益は同5.0%減の73億1600万円となった。営業利益は同21.2%減の7億1200万円、経常利益は同27.9%減の8億1500万円と二桁の減益。デリバティブ取引の低迷が業績悪化の主因である。
中核子会社の日産証券における株式等売買代金は前期比95.8%増の4204億円と大幅に増加した。しかし、デリバティブ取引売買高はホールセール事業では同11.7%増の4520万枚と伸びたものの、リテール事業では同20.8%減の216万5000枚に減少。受入手数料は同4.5%減の66億3800万円にとどまった。また、トレーディング損益は同28.4%減の4億5100万円まで落ち込んだ。
費用面では販売費・一般管理費が前期比2.8%減の66億400万円と削減したが、減収を埋め合わせるには至らなかった。また、営業外収益の受取奨励金が前期から7600万円減少したうえ、営業外費用で支払報奨金5100万円を計上した影響が大きい。法人税等の負担は前期から7900万円減少し、1億9500万円となった。
同社は「株主への利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置付け、自己株式取得を含めた連結ベースでの配当性向(総還元性向)を60%以上」としている。2025年3月期の配当性向は136.2%と高水準となり、株主価値の最大化と資本効率向上を意識した配当政策を維持している。