日産証券グループは15日、上限100万株・1億5000万円の自己株式取得を取締役会で決議した。5月16日から7月31日にかけて東京証券取引所での市場買い付けを実施する。株主還元の強化と資本効率向上、流通株式比率の改善が狙いだ。
取得上限の100万株は発行済株式総数の1.82%に相当する。取得方法は東証における取引一任契約に基づく市場買付とした。
同社は株主還元を経営の最重要課題のひとつと位置付ける。自己株式取得を含めた連結ベースでの総還元性向を60%以上とする方針で、資本効率向上と機動的な資本政策の一環として自己株式取得を適宜実施している。
今回の決定は経済・社会情勢や証券市場環境、業績推移に加え、流通株式比率向上を考慮したもの。取得した自己株式は株式消却や役員・従業員向けインセンティブ、M&A(合併・買収)の買収対価などへの活用を検討する。
同社は上場維持基準への適合を見据え、流通株式比率向上を重要課題と認識。配当積極化や株主優待拡充による個人株主増加策、従業員向け株式報酬制度導入などを進めてきた。
親会社の株式会社NSHD(持株比率59.22%)も流通株式比率向上の課題を共有。NSHDは2024年に立会外分売や自己株式取得に応じる形で計750万株を売却している。
こうした取り組みにより同社の流通株式比率は2022年3月末の27.06%から2025年3月末には37.67%に上昇。東証スタンダード市場の上場維持基準である25%を大きく上回る水準となった。
同社は今後も流通株式比率向上策を継続する方針。親会社NSHDも同社株式の段階的売却を進める意向を示している。