キッザニアに「証券取引所」、上場体験で金融学ぶ=東証

 東京証券取引所とキッザニア運営のKCJ GROUPは7月、期間限定で「証券取引所」パビリオンを開設する。こども達が起業家として株式上場を体験。政府が後押しする金融教育の裾野を広げ、将来の投資家育成につなげる狙いだ。

 舞台はこども向け職業体験施設「キッザニア東京」(東京・江東)。7月22日から28日まで開設する。参加者は起業家となり、株式上場(IPO)の仕組みを学ぶ。上場申請から審査を経て株式を公開し、最後に上場を記念する「鐘」を鳴らす一連の流れを体験できる。

 今回の取り組みの背景には、国を挙げた金融リテラシー向上の動きがある。政府は「資産所得倍増プラン」を掲げ、新しいNISA(少額投資非課税制度)も始まった。東証としては、将来の担い手である若年層に早期から金融市場に親しんでもらうことで、長期的な個人投資家の裾野拡大につなげたい考え。資本市場の活性化に向けた布石ともいえる。

 キッザニアを運営するKCJ GROUPにとっても、時流を捉えたコンテンツは施設の魅力を高める。高校の授業で金融教育が必修化されるなど、保護者世代の関心も高い。遊びながら学ぶ「エデュテインメント」を通じて、抽象的になりがちな金融経済を「自分ごと」として体感させる。他の職業体験との差別化にもつながる戦略だ。

 欧米に比べ、日本では家庭や学校での金融教育が遅れていると指摘されてきた。机上の学習だけでなく、株式公開という企業のダイナミズムを疑似体験することは、こどもの経済への関心を深める上で貴重な機会となる。金融をより身近なものとして社会に根付かせる試金石となるか、注目される。

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