金先物証拠金、100万円超に急騰=大阪取引所、市場の過熱感に警鐘

 大阪取引所で金先物取引の証拠金が急騰し、100万円の大台を超えた。世界的な金融情勢の不透明感を背景にした価格急騰に対応する措置で、市場の過熱感に歯止めをかける狙いもある。投資家の取引負担が一段と増している。

 大阪取引所の金先物取引で、証拠金額が異例の水準に達した。21日から適用された金標準先物の証拠金は1枚104万9000円。9月末に57万円台だった水準から、わずか3週間ほどで8割超も跳ね上がった格好だ。

 背景には、世界的な地政学リスクの高まりや根強いインフレ懸念がある。安全資産とされる金に資金が流入する一方、その動きが短期的な利ざやを狙う投機マネーを呼び込み、価格変動(ボラティリティ)を増幅させている。今回の引き上げは、こうした市場の過熱感に警鐘を鳴らす意味合いが濃い。

 証拠金は取引の安全性を保つための「保険」だが、その急騰は投資家の体力を奪う。レバレッジを効かせた取引の妙味が薄れるだけでなく、追加証拠金(追証)を求められる投資家も増えかねない。市場では個人投資家を中心に、売買手控えやポジション解消の動きが広がる可能性が指摘される。

 白金標準先物の証拠金も29万5000円に上昇した。産業用需要の動向に左右されやすい白金まで証拠金が上がっていることは、貴金属市場全体でリスク許容度が低下している証左といえる。

 一連の措置が市場の「冷却材」として機能するかが当面の焦点となる。しかし、金価格を押し上げる根本的なマクロ経済の不透明感が払拭されない限り、市場の神経質な展開は続くとみられる。

 

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