電力先物4月取引、1万2351枚と過去2番目の高水準=東商取

 東京商品取引所が発表した電力先物マンスリーレポートによると、同取引所の電力先物市場における2025年4月の取引高が1万2351枚に達した。過去最多だった3月の1万2600枚に次ぐ水準となり、約定件数は前月の167件から393件へと約2.4倍に拡大した。立会外取引を中心に幅広い市場参加者が取引を活発化させている。

 4月の取引は立会外取引による大口取引が中心だったが、ザラ場での小ロット取引も増加。同レポートに記載された新電力の市場担当者の声として「大手から中小まで幅広いプレーヤーが取引を行った」との見方が示された。取引の多くは年間や季節などの一定期間のリスクヘッジが目的だ。

 特に東エリアのベースロードで26年度年間(4~3月)の取引が活発で、一日で10MW以上の取引が複数回成立。リム情報開発の取材によると、「再エネを調達する際のヘッジ」として活用するケースもあった。ある新電力担当者は「足元の先物が割安のため、高値で調達した再エネのヘッジに活用した」と説明している。

 同レポートによると、取引内訳は東エリア・ベースロードが1万1587枚と全体の94%を占め、西エリア・ベースロードが588枚、東エリア・日中ロードが166枚だった。4月限の最終決済価格は東エリア・ベースロードが11.45円、西エリア・ベースロードが9.44円。

 一方、電力スポット市場は全9エリアで前月比下落。春の到来に伴う暖房需要低下が背景だが、前年同月比では上昇した。気温は4月初めの寒の戻りから後半の気温上昇まで寒暖差が大きく、基準値を上回った。

 レポートによれば、燃料価格は、月末時点で原油、LNG、石炭のいずれも前月末から下落。米国の関税政策に伴う景気後退観測が弱材料となった。3月の貿易統計速報によると、原油が前月比3434円安の1キロリットルあたり7万4771円となった。

 電力先物市場の参加者は3月末時点で185社。内訳は国内電力会社が164社、海外電力トレーダーが12社、需要家が3社などとなっている。市場開設から2年余りで取引が定着しつつある。

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