アニメIP創出、個人投資家とSTOで支援=フィリップ証券とスタジオアウトリガー

 フィリップ証券は13日、才能ある日本のアニメーションクリエイターを支援するため、セキュリティ・トークン・オファリング(STO)を活用したアニメコンテンツ・ファンドの組成支援を開始すると発表した。IPビジネスプロダクションのスタジオアウトリガーを共同事業パートナーとし、クリエイターと投資家を結ぶ新たな資金調達の仕組みを構築する。

 フィリップ証券は2024年7月、映画「宝島」の製作委員会への出資権利をデジタル証券化して個人投資家に販売した実績を持つ。今回はその経験を活かし、日本のアニメーション産業の可能性拡大を目指す。資金不足で活躍の機会を得られなかったクリエイターが創作に専念できる環境構築が狙いだ。

 投資家にとっては「自分の手でクリエイターを有名にする」といった従来にない体験価値も提供する。同社はこれを「究極の推し活体験」と表現し、アニメ産業と個人投資家の新たな関係構築を目指している。

 スタジオアウトリガーの紙谷零取締役は「昨今の国内アニメ市場はビジネスサイド主導で作品数が増え続ける中、クリエイターがオリジナル企画に挑戦する機会が減少している」と指摘。アニメスタジオの工場化や自転車操業がクリエイティブ環境悪化を招いていると危機感を表明した。

 スタジオアウトリガーは元ジブリの高坂希太郎監督ら作家性のあるクリエイターを抱え、最近では四宮義俊監督の日仏共同製作アニメ映画「花緑青が明ける日に」が第77回カンヌ国際映画祭で注目されるなど実績を上げている。

 フィリップ証券の永堀真社長は「アニメーション業界と投資家が密接に連携し共に価値を創出できる新たな金融商品の提案を進める」と述べ、日本文化と経済をつなぐ革新的な金融ソリューション提供に注力する方針を示した。

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