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自己中心主義の精算を


社会との共栄突破口に

 一進一退。そして、結局はこれまでとほとんど変わりばえのしない停滞というのが現在の国内商品先物市場の実相のようである。昨年開催された産業構造審議会商品先物取引分科会では、消費者団体委員を中心に根強い規制強化論と、商品先物取引自体を否定する主張さえ提起された。しかし、報告書全体としては、それまでの規制一辺倒から、国内市場の活性化が盛り込まれることになり、それが昨年12月の省令改正に繋がることで、不招請勧誘禁止の部分的緩和などが実現した。しかし、これらの規制緩和は極めて限定的なものであり、表面では活性化の必要性を語る(言葉だけ?)一方で、裏面では立入り検査(内容)を強化、恣意化するという行政のダブルスタンダード、鉄面皮ぶりはいぜんとして強固に残されていることを忘れてはなるまい。

既存商品の強化を

 さて、前号弊紙でも指摘したように、国内市場のマーケット・ボリュウム、流動性は金を筆頭とする貴金属の強弱しだいという展開が続いている。実質的に東京商品取引所の出来高が全体の99%強を占め、そのまた7割以上が貴金属であるという実態をみるなら、東商取の中期経営計画に盛り込まれた「金以外の商品の活性化」という市場政策が急務である。周知のように、経済産業省では東日本大震災に伴う東電福島原発事故を受けた原発停止によるLNG(液化天然ガス)の需要拡大を背景に、LNG先物市場の開設を検討するとともに、電力先物といった商品をも想定しているようであるが、いずれにしても足元の既存商品の活性化なくして、国内市場の流動性拡大は不可能である。

 前述した産構審では昨年の報告書に対するフォロー・アップのための分科会開催が見込まれているが、そこでいかなる議論が展開されようとも所詮は机上の空論となるか、結局は大山鳴動して規制策(市場と一般投資家の断絶強化)だけが残るということの繰り返しに終始してきたというのが商取行政の実態ではなかったか。そして、その何よりの”成果”が我が国商品先物市場の衰退と地盤沈下である。それは、国内的にも国際比較の点でも顕著である。東商取がまとめた2012年の商品取引所出来高ランキングによると、ペスト・テンは①大連商品取引所②ニューヨーク商業取引所③インド・マルチ商品取引所①上海期貨交易所③ICEフューチャーズ(欧州)⑥シカゴ商品取引所⑦鄭州商品取引所⑧ロンドン金属取引所⑨ICEフューチャーズ(米国)⑩インド国立商品デリバティブ取引所――だった。

日本の実力は?

 金融先物を含まないランキングなので、CME(シカゴ商業取引所)が11位にとどまるという順位になっているが、我が東商取はようやく12位(前年と同じ)に入り、出来高水準そのものはモスクワ取引所(14位)と大差ないという体たらくである。まさに、これが現在の国内商品取引所の”実力”であり、かつては東京工業品取引所(=当時)が、CMEに次いで世界第二位に入るという実績からの転落の元凶が行政による過剰規制にあったことは周知の通りである。とはいえ、市場衰退の原因が行政規制だけにあるわけではない。中国やインドの商品取引所の躍進は、それだけ旺盛で巨大な実需(現物需要)があることを如実に示している。急速な経済成長そのものが、価格形成と流通を支える商品先物の機能拡大に直結しているわけだ。

 すでにそうした段階を過ぎた日本の商品先物は自らの成功体験を次の時代に送り出すことに失敗した。それは何よりも市場の役割と存在意義の社会認知を確立することなく、目先の利益追及に拘泥することで自らの業(商品先物受託業)の社会的信頼を放棄し、取引所は出来高至上主義を漫然と続けることで公器としての自覚を見失った結果が、現在の惨状を招いたのではなかろうか。そのことに対する総括を行政主導による制度改革(商品取引所法から商品先物取引法への移行など)ではなく、業界自らの意志と責任において社会全体に提示し、社会的な納得とそれに基づく市場参加を模索する懸命な自助努力のなかからしか生み出し得ないものである。

向かうべき道

 いずれにしても、商品先物が社会のなかで特別なもの、特異な存在、一部の特定の者だけのものである限り、どのような制度、体裁、謳い文句(キャッチフレーズ)を掲げようとも、ついには社会にとって不可欠の存在となることは不可能である。我々(業の側)が社会を必要とするのではなく、社会そのものが商品先物の利用価値を認め、役割や機能を必要とするのでなければ、産業インフラだとか資産運用のため云々といったところで、所詮は空念仏に過ぎまい。それでも、いまや世界大(ワールド・スケール)でひとつの焦点とすらなっている金の存在はやはり我が業界にとって、決定的な”武器”であることは間違いない。既述の通り、金頼みでは、市場全体の成長は望むべくもないが、それでも金を突破口に真に社会との共存共栄を図るならば、向かうべき未来への光明(可能性)の一端を見い出すことは決して不可能ではあるまい。

 

 

 

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