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再び官の独り善がりが・・・


LNG先物市場創設のホンネ

 経済産業省は5日、LNG先物市場協議会におけるこれまでの議論をまとめた「LNG先物市場に関する方向性について」を公表した。それによると、日本が世界最大のLNG輸入国であることに加え、東日本大震災と福島原発事故によって需要がさらに急増。アジア地域全体でも拡大傾向が見込まれている。一方、LNGの価格は原油価格に連動する長期・相対契約になっているため、シェールガス革命で世界的には天然ガス価格が安定的に推移しているにもかかわらず、日本は事実上、世界最高値での輸入価格を強いられている。そこで、LNGの先物市場を創設し、価格の安定化やユーザーのリスクヘッジの手段を提供することはエネルギー安保という国策からも不可欠と結論付けている。

14年度中目指すが

 当面は現金決済型の取引とし、現物の受渡しにっいては先物価格を参照したEFP取引を導入。海外の需要家や供給者の市場参加を促進する観点から、国内商品としては初のドル建て市場を採用するとしている。将来的には現物の受渡しを伴う現物先物取引への移行も想定しているが、2014年中をメドに、現金決済型のLNG先物市場創設を目指すべき」とした。上場先は東京商品取引所となるが、ドル建てをはじめ取引の仕組みやルールの検討はこれからであり、詳細が不透明ななかで、東商取の対応は未定のままである。もっとも、東商取自体が中期経営計画のなかで、電力先物やLNGの上場を検討項目に掲げており、いずれは具体化へ向けての取り組みがスタートすることになりそうだ。

 LNG先物市場の是非を論じる余裕はすでにないほど、発電用燃料の安定的確保は文字通り、焦眉の国家的課題である。しかし、その成否は全く別の話である。確かに国内商品先物市場は今年1一3月の総出来高が前年同期比11・3%増加。新年度(4月)入り以降の東商取の一日平均出来高が前年度(10万8000枚)を3割以上も上回るという足元の活況を受けて、一時の総悲観からの好転を取り沙汰する向きも出はじめている。これは、いわゆるアベノミクスによる円安誘導、異次元と称される黒田・日銀の超金融緩和を背景とするデフレ脱却、インフレターゲット策波及の一端といえるものではある。ただ、デフレ脱却、インフレ目標の本丸である日本の製造業再生や国民全体の所得拡大というよりも、株価の急騰、円安進行によるドル円相場の変動を受けたFX取引の急増、高級宝飾品の売り上げ増加といった資産効果に偏っているのが実態である。

総合取構想の変質

 デフレ脱却が、商品価格の全面的な上昇に繋るような、いわゆる”商品の価格革命”に至っていないのは、いぜんとして金の一点張りという様相を呈する国内商品先物のマーケットとしての片肺的な脆弱性であり、政策(の転換)と市場の強弱が直接連動する株式や為替と異なり、商品先物には規制以外に政策が不在であるという厳然たる現実である。そもそも、総合取引所構想なるものが、国際市場間競争のなかで急速に地盤沈下する日本の金融・資本市場と行政規制によって市場崩壊の事態に至った商品先物を、官僚的ナショナリズムという共通目標で主務省庁間の利害をひとまず封印し、監督と規制を金融庁に一元化するために、総合取の設置を法制化した金融商品取引法改正を実施。それに基づいて、今年1月1日に東西両証券取引所を経営統合した日本取引所グループを発足させた。同グルしフの中期経営計画3月26日発表)には、アジア市場での競争力の強化のために、コモディティーデリハディブ分野に本格的に進出することが明記されているが、具体的な方策、展望は全く不明である。斉藤惇同グループCEOは、商品先物が不招請勧誘禁止などを含め、市場拡大と規制強化がばらばらに論議されていることや、証券分野と商品先物のルールの不統一から、当面は商品取引所との統合が経営上の課題にないことを表明している。

TOCOMの行方は

 こうしたなかで、経産省がLNG先物市場創設を急いでいるのはなぜか。結局は、LNG先物っきであることでTOCOM(東商取)の企業価値を高め(ることができるなら)、総合取に統合される場合のプレゼンス(行政権限)を強めようという意図があるのは間違いあるまい。そもそも、今年二月に東京穀物商品取引所からの市場移管で、農産物・砂糖市場が開設されることが分かっていながら、直接の管轄は農林水産省だとしても、両主務省連携による農産物市場振興への政策支援が事実上皆無であるところに、経産省(-というよりもむしろ主務省そのもの)のホンネがみえるといえよう。金をはじめとする貴金属は所詮は相場の強弱によってその市場規模(流動性)が左右されてしまうという不安定が不可避である。また、エネルギー先物商品として一本立ちできていない現行の石油製品市場より、発電燃料という決定的な強味を持つLNGやLPGを主力商品とすることで、彼らにとっては常に不満のタネである投機市場から、実需者のためのヘゴン中心市場の実現という見果てぬ夢を描いているのであろう。しかし、それは官の横暴であり、邪道である。

 

 

 

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