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縮小再編回避のために(6月15日号・紙面)


原点自覚で再出発を

 東京穀物商品取引所(渡辺好明社長)の農産物市場移管問題は結局、トウモロコシ、一般大豆、小豆、粗糖の4商品を東京工業品取引所(江崎格社長)へ、コメを関西商品取引所(岡本安明理事長)へ移管することで三者が合意し、決着した。今後、東工取が農産物市場の開設を、関西取が米穀市場の定款変更などを主務省に申請。認可後に来年2月をメドに市場移管され、これを受けて東工取は「東京商品取引所」に商号変更する。関西取では当初予定されていたシステム変更によるザラバ化を見送り、米穀市場は従来通り板寄せでの売買となる。東穀取は来年3月までに臨時株主総会を開催し、解散(会社清算)を決議、来夏までには整理が終了する見込みだ。

行政主導に風穴?

 東穀取の終えんは業界が望んだ取引所再編(統合、合併)とはいささか異なるものとはなったが、とりあえずはすべての物事が主務省が生殺与奪権を握ることによる絶対的権力の下で実行されてきた悪弊にほんの微かではあるが、小さな風穴を開けるものとなった。少なくとも、経営破たんが明らかな東穀取が、土地・建物の売却とコメ上場(試験上場)だけで乗り切れるとの主務省(農水省)と天下り役人による経営判断に株主(旧会員=旧取引員)が明確に「NO」を突きつけ、結果的に「何としても農産物市場を堅持したい」との株主の意志が実現する格好となった。図らずも国内唯一のコメ先物市場となる関西取にしても、取引所の運営基盤には様々な困難がある。出来高不振の恒常化によって2011年度決算は赤字を余儀なくされた。堂島・米会所以来の〝コメ先物の聖地″となることを市場拡大の追い風とすることができるか否かが焦点となるが、試験上場期間の残りは少ない。

 一方、東工取は商号変更によって、名実ともに英字略称である「TOCOM」となる。1984年に東京繊維商品、東京ゴム、東京金の3取引所を統合して「東京工業品取引所」となってから28年を経過して、ようやく発足当初の略称に込められた行政(通産省=当時。現経産省)の意図が現実化する。新生「東京商取」に前述した3取引所に東穀取と同取引所に統合・合併された北海道穀物商品、東京砂糖、横浜生絲、前橋乾繭の各取引所を加えた、まさにオール東日本の商品取引所の歴史と伝統が受け継がれることになる。しかし、この業界的には行政管轄権を乗り越えた大統合ともいえる東京商取に、スケール感やダイナミズムが欠けているのは否めないところではある。

二大原則の確立を

 産構審商品先物取引分科会は18日開催の第6回会合で取りまとめの論議が行われる。どのような結論となるかはともかく、いずれにしても商品先物市場の最大の役割である公正な価格形成という目的を達成するための絶対条件である、より多様で広範な資金と参加者を完全に公平なルールで確保する――という観点での取りまとめとなる公算は乏しいようである。消費者(委託者)保護を名目とする不招請勧誘の禁止によって一般投機を排除したまま、商品先物市場の活性化のためには個人投資家の参入を促進するというのは、論理矛盾というほかあるまい。

 いま、「置かれた場所で咲きなさい」という本がベストセラーとなっている。85歳になるノートルダム清心学園理事長である渡辺和子氏というカトリック教育者の著書だが、同氏は「委ねるに際しては、相手を信頼しなければいけない。委ねるとは、決して〝丸投げ″することではなく、要所要所でチェックをし、委ねっ放しでないことを相手にもわからせる。そして最後に、結果がよかった時は、その人(相手)の功績とするが、結果が悪かった時は自分が悪者となることを恐れない」ことが一番大切であるとの趣旨を述べている。これはいわゆる教育論、人生論であるが、あたかも商品先物取引の委託者と受託者の関係を見事に言い表してはいないだろうか。市場と業界の信頼性確立を大前提に、委ねる者(委託者)の自己責任原則のあるべき姿がそこにはある。

全力で大衆化を

 商品先物市場が、日本の産業インフラとして不可欠であり、その機能と役割を発揮する過程のなかで、公正な価格形成を通じた波及効果として、たとえば資産運用手段としての地位を確立するためには、市場原理に基づく自由主義の原則と公正公平を担保するルールがもたらす市場信頼性によって社会的認知と浸透の結果としての大衆化が必須の条件である。そのことによってしか、前述した委託者の自己責任原則を問うことはできないからである。何百回の官製討議(分科会など)を繰り返すよりも、マーケットの実態そのものが、社会的関心と参加への動機付け (モチベーション)となりうるようなありようを市場や業界が自ら提示できなければ、これからも衰退と自滅の道が待っているだけである。

 

 

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