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どこまで後退を重ねるのか


社会市場の接点果たせ

明けましておめでとうございます――といえど、門松や冥土の旅の一里塚目出度くもあり目出度くもなし。あまりにも有名な江戸期の川柳の一句である。当時は数え年であり、人は新年を迎えるたびにひとつ歳を重ねた。従って、新年は「目出度い」が、寿命は確実に一年減ってそれが尽きるまでのカウント・ダウンが進むのと同義なのだから、「目出度くもなし」というわけだ。さて、では業界の新年は果たしてどちらであろうか。すでに答えは出ているとはいえるが、それゆえにこそ商品先物取引業という法によって認定された許認可業種であり、商品の公正な価格形成という極めて重要な産業インフラである商品先物市場の担い手であるとともに、当業者、個人(一般)投資家と市場(マーケット)を繋ぐブローカーとして不可欠な社会的信用と高度な情報提供力の確立をいまほど迫られているときはない。

縮小続く国内市場

昨年1~11月の商品先物総出来高(オプション取引除く)は2510万9750枚と前年同期比21・6%減少。通年ベースでは2700万枚がらみの水準にとどまった。2011年に8年ぶりに年間出来高が前年比増加に転じたものの、わずか一年でほぼ十年単位で続く長期市場縮小基調に後戻りした格好である。国内商品先物市場における流動性の大半を支える東京工業品取引所(江崎格社長)の年初来累計出来高(十一月末現在)が前年の八割弱にとどまったうえ、今年二月に東工取と関西商品取引所(岡本安明理事長)に市場移管する東京穀物商品取引所(畑野敬司社長)が40%を超える減少となったことが全体の出来高減に直結した。

いまや商品先物総出来高の5割を超える金(標準取引プラスミニ取引)の売買人気しだいという国内市場のありようは、先物マーケットとしてはいかにも歪(いびつ)で片肺的である。この結果、金を中心とする貴金属に取引が集中する(偏る)一方、石油やゴム、トウモロコシなど一部の例外を除いて上場商品間の出来高にアンバランスが生じ、それがさらに市場全体の衰退に拍車をかけるという悪循環を招いている。金などへの比重が過度になることで、商品ごとの知識や取引上の習熟度、商品知識がバラつくことで、それが業界(外務員)の総合力向上を阻害することにつながっている。金は確かに商品先物界のスーパー・スターであり、主役であるが、一将功成りて万骨枯るの事態となるとすれば、それはやはり我が業界と市場の土台を蝕む要素となるのではないか。

金とコメで得たもの

確かに、コメ(先物)はそのため(金と括抗して市場全体を盛り上げる)の格好のニュー・スター(72年ぶりの復活)となるハズであったが、結局は最大の当業者である農協(全農)による敵対視もあって、本上場どころか、試験上場の延長が当面のテーマとなってしまっているというのが実情である。しかも、新政権のコメ政策しだいではその先行きにもにわかに不透明感が強まる公算すらある。1日には東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合した「日本取引所グループ」(斎藤淳CEO)がスタート。日本も形の上では総合取引所の時代に入る。しかし、これは文字通り、〝形成上″のものであり、規制・監督の一元化はおろか、金融庁、経済産業・農林水産両省の行政権限を事実上、ソックリそのまま温存したという意味では、総合取の実質どころか、改正金融商品取引法は行政の焼け太りという点で典型的な官僚主義の手口といえるかもしれない。

前述した東穀取農産物市場の東工取と関西取への移管によって、前者は「東京商品取引所」に、後者は「大阪堂島商品取引所」に名称変更される。日本取引所G発足の一方で、国内商取は東西二取引所体制に移行するわけだが、このこと自体に何らの晴れがましさもエポック・メーキング感もないところに、業界の置かれた環境が如実に示されている。冒頭の「目出度くもなし」の所以でもあろう。これによってかつて、東京金、東京繊維商品、東京ゴムの三取引所が統合して誕生した東工取の英文略称「TOCOM」に通産省(=当時)が仮託した東京商取が、東穀取消滅と同時に実現することになる。

政策支援に期待せず

皮肉な話であるが、3取引所統合(1984年)は主務省による商品先物市場に対する消極・不拡大路線から積極・拡大路線への転機となるとともに、主務行政が通産主導へと移行する契機ともなった。事実、その後ほぼ20年にわたって国内市場は拡大の一途を辿った。しかし、そのちょうど20年後の2004年の法改正によって、商取行政は勧誘規制強化へ180度転換。過剰ともいえる行為規制の結果、業者(取引員)数、取引所数とも激減。かつては日本の商品先物取引のシンボルであった東穀取は未熟過ぎるしかないコメ先物と引き換えに、解散の運命を辿ろうとしている。年間出来高が3000万枚を大きく下回り、総取組高は40万枚前後での推移を余儀なくされている。ともにピークの5分の1にも満たない市場規模に追い込まれている。

かつての強引な営業行為が社会との軌轢を生み、業界は回復不能な社会的不信を負ってしまった。それが行政による専業取引員と一般委託者の排除という市場政策に繋がって、いま全取引所、旧取引員のほぼ全社が赤字に陥るという逆風の真っ只中にある。それもこれも行政規制が社会と市場を不当に遮断しているからである。とすれば、業界には自らの手で社会との接点をいかに創造するかという道しか残されていない。

 

 

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