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出来高増も真夏の夜の夢【9/15号紙面】


市場信頼性の確立急務

8月の商品先物総出来高(オプション除く)は427万1031枚と前月比76・2%増加するとともに、2008年10月の451万2170枚以来、2年10ヶ月ぶりに400万枚の大台に乗せた。前年同月比は102・8%増と2倍を超えた。その結果、年初来累計は2341万4358枚と前年同期比10・9%増加した。東京穀物、関西両商品取引所にコメが試験上場され、72年ぶりにコメ先物が復活するという歴史的(?)な月となったとはいえ、出来高急増の最大の要因が東京工業品取引所が400万枚の大台を突破。1日平均出来高が17万5068枚と、奇しくも08年10月以来、2年10ヶ月ぶりの枚数となったことが全体の出来高を押し上げることとなった。

金頼みの実態が…

もちろん、その最大の原動力が「金」であったことはいうまでもない。金の標準取引は258万1114枚、同ミニ取引は47万4514枚と、ともに前月の2倍以上となった。国際指標となるニューヨーク金(期近)がついに1トロイオンス=1900ドルを突破するなど、再三にわたった史上最高値を更新。東工取金先物も1982年3月以来、29年ぶりに上場来最高値を更新するに至った。こうした金に対する世界的な投機(投資)人気の拡大を背景に標準取引だけで1日16万枚を記録する場面も出ている。8月の1日平均出来高が2011年度下期の経営目標である17万枚を上回ったことで、東工取の江崎格社長は市場機能が順調に発揮されているとの見方を示している。

しかし、現実には当期(4~8月)の1日平均出来高は12万9303枚と、適期の目標である「14万枚」さえ下回っているのである。また、金が一日16万枚できた ―ー などといっても、かつては1日52万枚(03年2月5日=52万4674枚)もあった時代があることを考えるなら、現在の水準が決して満足できるものでないのは明らかである。市場を、そして業界を取り巻く環境が激変し、法制も様々なルールも大きく様変わりしてしまった。何よりも、商品先物取引法への移行に伴って、不招請勧誘が禁止された。個人については初期の投資金額以上の損失に限定する取引(スマートCX)以外の勧誘という、およそ先物取引の原理原則に反するような商品 (?)を業界に強要することで、市場そのものの機能がありようが大きく歪められようとしている。

忍び寄る危機

このことが、金の国際市況が史上最高値を更新し、金の円建て価格が30年来の高値をマークし、さらに穀物を筆頭に他の主要商品も空前の高値圏にあることに加え、まさに鳴り物入りでコメ先物が復活したにもかかわらず、国内商品先物市場の総取引高は40万枚を超えるのがやっとという惨状を呈している。まさに市場じたいの歪みに法制(ルール)のネジレ(国会ではないが)があるとしか考えられないのではないか。マス・メディア的には大きな関心のなかでスタートしたコメ先物だったが、上場以来1ヶ月が経過してみて、その関心が極めて限定的(プロ的)なものであったことが早くも露わとなりつつある。

8月のコメ先物の1日平均出来高は東穀取が1,150枚に関西取が2,687枚であった。この水準をどうみるかは見方が分かれるところではある
が、東穀取の当初の「想定」が5,000枚であるので、ここでもやはり「想定外(に低い)」ということになるのであろうか。ただ、より深刻なのは9月に入ってからの1日平均(8日現在)が東穀取が426枚、関西取が535枚と、薄商いにさらに拍車がかかっていることである。JA(全農グループ)の取引不参加表明に加え、卸や流通などの当業者 (半業界)そのものが模様眺めの姿勢を決め込むなかで、個人投資家や取引参加者による自己ディーリングが中心の取引となるうえ、不招請勧誘の禁止が受託会員の重しとなって市場に閑古鳥が鳴くのは当然ともいえよう。

社会への浸透が鍵

結局は、その市場がマーケットとして機能するもしないも、ひとえに流動性の多寡にかかっている。その流動性の源は+古今東西の区別なく、一般投機(個人投資家)であるのは論を待つまでもない。大手地金商の不参加によって片肺的と椰捺されながらも、ほぼ30年にわたってかろうじて市場の態を堅持してきた東工取の金先物も、様々な試練と荒波を経ながらも、個人の投資家層が恒常的かつ継続に存在し、参入してきたからである。しかも、そうした層を懸命の努力によって市場に導入してきた専業取引員という企業があったればこそである。コメについても、生産者、卸、流通が腰を上げない現状に対し、取引所、業界団体が市場参加の促進、とりわけ個人投資家を対象とした利用キャンペーンに取り組もうとしているが、最後に物を言うのは市場(取引所そのもの)の信頼性であり。ルール(法制)への理解が社会に浸透、定着しなければ、そうした取組も無駄に終ることになる…。

 

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