コメ先物がスタート

 東京穀物商品取引所と関西商品取引所は8日、コメ先物を試験上場し、取引がスタートした。


 取引初日の8日は、東穀取市場が、今年産米への放射能検査の影響で、需給が逼迫(ひっぱく)するとの見方が大勢となり、買い気配値が高い水準で張り付いた。取引開始直後の寄り付き時点で取引基準値の13,500円を上回る18,500円を付け、サーキットブレーカーが発動。気配値が1日あたりの値幅制限である600円を大きく上回る18,000円前後で推移したため、取引は終日成立しなかった。

 一方、関西取市場は、11月限は14,620円、12月限は14,840円、1月限は18,910円となり、出来高は合計で11,289枚となった。

 東穀取は翌9日の日中立会いで初値がついた。初値はそれぞれ11月限が17,400円、12月限が17,400円、1月限が17,280円となった。出来高は6,765枚と、試験上場の成功のためにスタート段階で必要とみていた1日平均5,000枚程度の水準を確保した。

 東穀取の渡辺好明社長は9日、
「8月8日より、72年ぶりのコメ先物取引が再開され、本日午前、初値がつきました。
これまで多くの方々から、たいへんな応援をいただいて、ここまでこぎ着けることができました。心から感謝申し上げます。
いうまでもなく、おコメは日本の主食でありますが、この主食に関わる農業政策が大きく転換している中で、先物市場が公正な価格の指標を提示することと保険つなぎの場を設けるという点で、大変重要な役割を果たせるものと確信をしております。
これから先、取引がとにかく大きな厚みをもって流動性をしっかりと確保し、期待されている機能を果たせるよう、我々一同、更なる努力をしたいと考えております。」とコメントした。

 一方、関西取の岡本安明理事長は
「先物取引の原点であるお米が再開できたことは、本所のみならず国内先物市場にとってまさに歴史的な出来事であると受け止めております。
今後は生産者の皆様をはじめとするお米業界の方々にとって有益な市場となるように育ててゆくことが、我々に課された重大な責務であると認識し、努力して参る所存でございます」とのコメントを発表した。