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省令改正で規制緩和?


行政が市場とニーズを遮断

 これでも、それなりの規制緩和という一定の方向性の表われなのだろうか。経産、農水両省は5日、商品先物取引法施行規則における省令の一部改正案についてのパブリックコメント募集(11月5日まで)を開始した。これは、①金融商品取引業者の純資産額規制比率に係る提出書類の弾力化②プログラム自動売買の受託容認③プロ当業者に限定した一任売買の解禁④金融商品の取引所デリバティブ取引経験者への不招請勧誘を許容するというもの。このほか、商品投資顧問業と商品先物取引業の兼業に関する緩和措置も含まれている。果たして、日本商品先物振興協会の岡地会長がいう、「(2005年以降)規制緩和のケースはなかった。(行政の)方向性転換の第一歩となる」ことを期待して良いのだろうか。

緩和には程遠い

 今回の不招請勧誘禁止見直しの対象は、「自社と金融商品のデリバティブ取引を継続的に行っている顧客」に限定されている。確かに、規制緩和の一歩ではあるが、9月に某紙の商品欄に躍った「商品先物、経験者の営業解禁」というほどのインパクトには欠けるというのが実相というべきであろう。もちろん、自社客に限定とはいえ、FXや株価指数先物の経験者への不招請勧誘が解禁されるとなれば、商品先物の取引所取引拡大の要素となり得るという意味では〝一歩前進″かもしれない。しかし、経験に必要なデリバティブ取引は取引所取引に限定されているうえ、一年以内に複数回取引していることが条件となっており、これでメリットを得る商先業者がどれほどおり、少なくとも飛躍的な顧客獲得効果に繋がるかは疑問というほかない。

 結局、今回の省令改正案(最終案ではないが)は、むしろ改正金融商品取引法の成立に伴う総合取引所移行にツジつまを合わせた部分が大きいのではないか。かりにこの省令案が施行されるとして、業態的によりメリットを受けるのは、すでに金融商品取引業者として証券やFXをやっている者ということになるのではないか。つまり、商先業者の営業(規制)緩和というよりは、金商業者が商品先物の取引所取引を受託するための利便性が向上するだけという結果を招きかねない。行政にとっても、国内の商品先物市場の活性化(振興)は産業インフラとしても、国際競争力の観点からも、「喫緊の課題」とされているにしては、今回の省令改正案の〝本気度″はいぜん低いというほかはない。

アリバイ作業?

 今年4-9月の商品先物総出来高は2444万3506枚と上半期として前年同期比27・3%減少した。前期が8年ぶりに前期比増加に転じたことが業界内のささやかなニュースとなったが、あれだけの爆発的な金に対する世界的な投機人気(ニーズ)の拡大があったにもかかわらず、国内の商品先物出来高(全体)の増加率はわずか「3・5%」にとどまった。これが、我が国商品先物市場の〝実力″である。しかも、今年は上半期とはいえ、穀物相場の高騰を国内市場の追い風にすることもできないまま、早くも元の木阿弥の様相を呈している。あまりにミニマムなデータで統計的価値はほとんどないが、上半期の一日平均出来高は10万4137枚だったのに対し、10月入りり後は同11万枚強とほとんど同じなのはマーケットの流動性が完全に膠着化(しかも低位で)しつつあることを物語っている。

 抜本的な打開策がないなか、行政当局が市場消滅への危機感を持っていることだけは確かのようで、すでに既報の通り、先月下旬には3省庁(金融庁、農水・経産両省)の副大臣、政務官と国内8取引所(証券・金融・商品各取引所)、業界団体の代表者などによる意見交換会が行われた。改正金商法成立を受けたものであるが、内容は全くの顔見せに終始したようだ。行政サイドは総合取へのコンセンサス作りを要請したようだが、少なくとも各取引所は東証、大証以外は同床異夢のままである。日本のマーケット・ビジネスが世界的には地盤沈下を続け、国際市場間競争で完全に埋没(一人負け)していることへの対応力が官民ともに見い出せないでいる。

消えぬ責任逃れ

 結局、行政が不招請勧誘禁止の理由としている、「不意打ち性を帯びた訪問又は電話による勧誘等により、適切に顧客の適合性の確認がなされず、顧客が意図に反する契約をしてしまう被害が多発していた」のはすでに完全に過去のことである。トラブル・ゼロをどう解釈するかはともかく、原則として自由な取引を前提としなければ公正な価格形成という商品先物市場の最大の役割を果たすことはできない。とすれば、最大のトラブルは価格形成機能不全となることに他なるまい。個々の取引のトラブルは、それが個人相手であれば、厳密なルールと委託者保護の体制を万全とすることで対処すれば良い。2005年以降、行政は流動性を犠牲にして彼らのいう「被害」の責任が自らに向かうことを回避することだけに全力を傾けてきた。それだけが商取行政になったことで、国内に眠る膨大な運用ニーズは「先物市場(マーケット)」と遮断したままである。

 

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