日本取引所グループ(JPX)は、政府が2025年10月に開催する国際金融イベント「Japan Weeks」で、金融庁主催の「アジア・デー」を共催する。官民が一体となり、成長著しいアジアの資金を呼び込む姿勢を明確化。「資産運用立国」の実現に向けた取り組みを加速させる。
政府が掲げる「資産運用立国」構想が、具体的な実行段階へと移行する。JPXが後援ではなく「共催」として参画するのは、構想実現に向けた官民の連携姿勢をより鮮明にする動きだ。市場インフラの中核である取引所が前面に立つことで、海外投資家に政策の信頼性を印象づけ、具体的な制度改革への期待感を高める狙いがある。
10月22日の「アジア・デー」にはJPXの山道裕己CEOや金融庁長官に加え、アジア開発銀行(ADB)総裁も登壇予定。政策当局と市場、国際金融機関のトップが足並みをそろえる布陣は、日本がアジア全体の成長に貢献し、その果実を共に享受するハブとなる戦略を内外に印象付ける。歴史的な円安も追い風に、投資先としての日本の魅力を訴求する絶好の機会との見方だ。
こうした民間の動きを政府も後押しする。石破茂首相はビデオメッセージで「オルタナティブ投資、地方を含めた日本への投資促進等を議論する」と意欲を示す。3回目となるJapan Weeksでは、首相の言葉通り、米ゴールドマン・サックスがヘッジファンド向けシンポを、米ブラックストーンもセミナーを開催。従来の株式投資にとどまらない多様な運用ニーズに応え、幅広い領域へ投資を呼び込もうとする官民の戦略の反映だ。
一連のイベントが、海外勢の対日投資を本格化させる「呼び水」となるかが焦点となる。課題はイベントの一過性で終わらせないこと。投資家との対話で得たニーズを、規制緩和や税制優遇といった具体的な制度変更に迅速に繋げられるか。官民一体となった取り組みを持続させ、日本市場の構造改革を断行できるか、その実効性が厳しく問われる局面を迎える。