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危機から崩壊の跫音(あしおと)が


社会的理解へ徹底的努力を

 

 これはやはり、ある種の最終局面であり、業界にとっての”最後通告”といってもよい事態なのではないか。国内商品先物のマーケットが縮小の一途を辿り、価格形成にしても、また当業者のリスクヘッジ、産業界の余資や一般投資家の資産運用市場としても、十全の機能や役割を果たすに足る規模(ボリュウム)および社会的要件を喪失しかねないところまで衰退してすでに相当の時間が経過してしまった。取引所も業界団体も、個々の取引業者もややルーチン化してしまったとはいえ、市場振興策に躍起とはなっている。しかし、通り一遍のセミナー(講演会)やいささかマニアックな投資イベントなどで、広範な社会的ニーズを掘り起こすことはやはり至難というほかはないというのが現実である。

 

底割れの気配も

 

 すでに小紙でも指摘した通り、8月の一日平均出来高が10万枚の大台を割り込んだ。これに加えて、9月も薄商いが続き、本稿脱稿時点(24日現在)で二ヵ月連続での10万枚割れが濃厚であり、月間出来高も直近の最低水準となることがほぼ確定的なほどに売買が落ち込んでいる。すでに何年も前から国内市場はその存立自体が危機的状況にあることはいまさら指摘するまでもないのが実情ではある。しかし、ここへきての出来高不振はたんに、主力の金を筆頭とする貴金属や石油、ゴムといった商品の低調といった現象面にとどまらず、商品先物という自由主義経済の基本中の基本であるような市場と取引をいかに捉え、日本社会のなかにいかに位置付けるのかという根本的な問いかけに、他ならぬ最大の当事者である我が業界が、いかに答え、そもそも自ら答えるだけの気概と意識(見識)を持っているかが試されているのではないか。

 

 かつて専業取引員というものが機能した時代にあっては、建前はともかく、市場が機能するためには一般投資家(委託者)の導入が所与のものとされ、そのための勧誘行為が極限まで肥大化したときに、国内市場もピークに達した。しかし、その結果として委託者トラブルが多発。商品先物取引の委託者トラブルを消費者トラブルと強弁する法曹界の曲解によって、消費者保護=委託者保護=社会的正義という構図が強行されてしまった。2004年の商品取引所法改正(再勧誘禁止)から商品先物取引法成立(2011年施行)に至る過程はまさにそのことに法的根拠を与えるものであった。

 

無策は許されぬ

 

 しかし、それは商品取引所や商品先物取引そのものを十全に機能させるためのものではなかったがゆえに(消費者保護を便法としたために)、市場は不可逆的に衰退せざるを得なくなった。市場の原動力である専業取引員と一般委託者を排除するための制度改革なのだからそれは必然であった。確かにトラブルは激減した。それは国民生活センターに対する相談件数や日本商品先物取引協会が受け付ける苦情件数に如実に現れている。年間出来高がピークの六分の一近くまで減少し、総取組高は七分の一に縮小してしまった。預り証拠金は四分の一、委託者数も三分の二にまで落ち込んでいる。登録外務員数(国内商品市場)に至っては最大時には1万7000人を超えていたものが、直近の8月末現在で2356人という有様である。

 

 総取組高と外務員数がともにピークのほぼ七分の一というのは何の符合なのかは定かではないが、行政による専業排除、一般委託者排除によって構成する市場形成という政策目標はほぼ完成されたといっても過言ではないだろう。ここまで事実上の”マーケットの死滅”という焦土作戦は達成されたようであるが、その後の国内商品先物市場をどうするかについてのグランド・デザインを行政が持ち合わせているようには見えない。確かに、産業インフラとして不可欠、国際市場間競争力の強化といったスローガンはあるが、総合取引所構想を含めて、明確な市場構築策や活性化策が具体的に提起される気配はない。むしろ、国内市場の”緩慢な死(衰退)”を傍観しているに過ぎないというのが実相である。少なくとも、かつての行政(とりわけ経済産業省)が標榜していたプロ化や大型化が絵空事だったことだけはハッキリしている。

 

活路は社会の中に

 

 内外のプロ投資家、当業者、企業の余資運用にせよ、そこに多様で潤沢な流動性が存在しなければ市場参加するための動機は生まれるハズがない。そもそも当業者に商品先物への当事者意識が希薄なうえ、社会全体にヘッジ精神が未成熟な日本においては、流動性確保は個人金融資産の導入以外に道はないのではないか。日銀が9月19日に発表した今年4-6月期の家計金融資産残高は1590兆円と過去二番目の水準となった。株価上昇などが背景にあるが、いずれにしてもこれだけの金融資産の大半が運用先を求めて死蔵されているとしたら、いまこそ商品先物取引の仕組みと活用方法を地道に根気強く説明し、業界とともに市場に参加できるほどの社会的理解を得るための徹底的な努力を重ねるしかあるまい。

 

 

 

 

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