WPICは16日、2026年の白金(プラチナ)需給見通しを発表した。過去1年間で白金、パラジウム、ロジウムの白金族金属(PGM)主要3鉱種の価格は50%〜100%急騰した。本来、価格高騰は増産を誘発するが、主要産金会社の2026会計年度の精錬生産は前年度比で4%減少する見込みだ。26年のPGM供給成長は、リサイクルが唯一の支えとなる。
リサイクル供給量は2025年の前年比10%増に続き、26年も同10%増と予測した。ただし、22年以降のリサイクル供給量は当初予測を平均で9%下回り、供給見通しと実績の乖離が常態化している。背景には半導体不足に伴う新車市場の混乱と販売価格上昇があり、消費者が車両を長く保有したことで廃自動車触媒の発生が制限された。23〜24年の価格低迷期にスクラップ業者が在庫を抱え込んだことも響いている。
足元の相場高騰は滞留在庫の放出を促す要因となる一方、供給成長を阻害する新たな二つのリスクが浮上している。第一に金利高を受けた銀行の与信枠縮小だ。業界全体が運転資金の制約に直面している。第二に、イランでの紛争がホルムズ海峡を越えて波及した点だ。自動車用PGMリサイクルの世界的集散地であるアラブ首長国連邦(UAE)を通じた流通が制限されるリスクがある。紛争による新車市場の減速は、供給・先行きの需要両面に悪影響を及ぼすと分析する。
白金市場は23年から連続的な供給不足にある。26年の需給バランスは24万オンスの不足と予測するが、リサイクル供給が予測を下回れば不足幅はさらに拡大する。パラジウムもリサイクルの停滞により、26年に予想される供給過剰への転換が実現せず、不足状態が継続する可能性がある。市場のタイトさは、高いリースレートや現物価格が先物を上回る「バックワーデーション」の状態にも表れている。

