フジトミ証券は2日、元プロ野球選手で阪神タイガース元監督の矢野燿大氏を起用した新テレビCMの放送を開始した。個人の資産形成への関心が高まるなか、矢野氏の持つ「戦略家」のイメージを通じて、同社が提供する資産運用サービスの専門性と独自性を訴求する狙いだ。
新CMでは、矢野氏が「資産運用は人生の戦略です」と語りかけ、スマートフォンでサービスを選ぶ姿を描く。「プロの戦略を選んで楽しめるのは面白いなぁ」とのセリフは、多様化・複雑化する金融商品の中から、専門家の知見を活用するメリットを示唆している。同社は、矢野氏の誠実さや挑戦する姿勢が、顧客と長期的な信頼関係を築く上で重要との考えを示した。
特にCMで強調されるのが「自動売買で賢い資産運用」というメッセージ。これは、投資判断の時間を十分に取れない層や、専門知識に不安を感じる投資初心者層へのアピールとみられる。フジトミ証券が提供する「シストレセレクト365」のような、あらかじめ設定された戦略に基づいて自動でFX取引を行うサービスへの誘導も意識しているのだろう。
証券業界では、NISA(少額投資非課税制度)の拡充などを背景に、個人の資産運用への裾野が広がっている。一方でオンライン証券を中心に競争は激化しており、各社は手数料競争だけでなく、独自の強みやブランドイメージの確立を急ぐ。今回の矢野氏起用は、プロ野球での実績と指導者としての経験に裏打ちされた「戦略性」や「信頼感」を前面に出すことで、数ある選択肢の中から同社を選んでもらうためのイメージ戦略の一環と言えよう。
野球の采配と同様に、資産運用にも明確な戦略と専門的な知見が求められるというメッセージは、特に目標達成に向けて計画的に取り組みたいと考える層に響く可能性がある。フジトミ証券としては、今回のCMを通じて、具体的なサービス内容への関心を高めるとともに、「だから僕はフジトミ証券」という言葉に象徴されるような、顧客からの能動的な選択とロイヤルティーの醸成を目指す考えだ。