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行政のシナリオは明白(7/1号紙面より)


その結果で市場崩壊へ


 コメ上場がほぼ確実となった。6月22日に開かれた民主党の農林水産部門会議で、試験上場への反対論が出なかったことで、与党が事実上の 〝ゴー・サイン″を提示。これを受けて農林水産省は今月中にも東京穀物、関西両商品取引所に対し、コメ上場を大臣認可する公算が高まったようだ。上場が実現すれば、1939年(昭和14年)の米穀配給統制法によって先物取引が廃止されて以来、72年ぶりにコメ先物が復活するとともに、大阪・堂島の米会所によって始まった江戸時代以来の日本先物史がふたたび繋がることになる。

コメ上場近し

 JA全中(全国農業協同組合中央会)を筆頭とする反対論はあるものの、生産農家に対する戸別所得補償制度の導入やコメ価格センターの解散など、コメの生産、流通を巡る環境は大きく変化している。生産調整という問題は残るが、5年前の不認可時と比較すれば状況は一変しており、全中の反対もガス抜きの要素が強いといえよう。東日本大震災による悪影響を懸念する声もあったが、むしろTPP参加論議が進められないなか、コメ先物が農政の重要課題から後退(中立化)したことも上場へのハードルを下げた側面もありそうだ。上場認可へのスケジュールはいぜんとして不透明ではあるが、もはや時間の問題となったことは間違いないようだ。

 こうしたなか、前述したように、業界の悲願、念願が奇しくも取引所再開以来60年ぶりに達成されようとしているにもかかわらず、業界に盛り上がりも、お祭り騒ぎの様相はみられない。まさに、これが行政の狙いだったのではないか。かつての、金や石油(製品)が上場された頃のような、まさしく〝我が世の春〟がごとき業界を挙げた高揚感や期待感はどこにもないというのが実情である。2005年、再勧誘の禁止導入という行為規制の強化によってはじまった主務省による商品取引員(=専業取引員)と一般投資家の排除は、今年1月の商品先物取引法施行によって、一応の完成をみたことは否定できまい。

取引員排除は誤り

 不招請勧誘を禁止し、それを回避するためには 「初期の投資金額を超える損失の出ない取引」なら認めるという、およそ先物取引の原則(自由な取引参加、参入条件に格差のない取引)を無視したルールが強制されることになった。これが、市場と業界に何をもたらしたかは明かである。新法によって規定されることになった商品先物取引業者は現在、58社が認可されている。この全社が日本商品先物取引協会に加盟しているが、かつての商品取引員(国内商品市場取引を行う者)はすでに30社を下回っており、専業形態となればこの数はさらに少数となる。取引所の数に至っては、5月末で中部大阪商品取引所が清算されて、いまやわずか3カ所である。来年3月にも予定されている東穀取農産物市場の東京工業商品取引所への移管が実行されれば、その数はさらに減じることは必至である。

 思えば、戦後の商品取引所再開は、コメの再上場をこそ目的としていた。とりわけ、農水系取引所において、その比重が高かったのは自明であった。それゆえに、商取行政の主導権は農水省が担っていたのである。通産省(=当時)は同伴者というよりも、むしろ随伴者の立場にとどまっていた。ところが、コメ先物が農協などの根強い反対と、その上に乗っかっていた自民党農水族とそれに基づく農政によって否定され続けた結果、コメの代替品としての小豆や輸入大豆が商品先物取引の代名詞となるのと軌を一にして進行した商品取引員の過剰勧誘が社会問題化。これが、商品行政を規制行政一辺倒にした結果、金が登場することで、消極行政を積極行政に転換し、商品行政の主役が農水省から通産省(現・経産省)に移行するまで続いたのである。

受託ビジネスは不滅

 いま、ふたたび規制行政へと逆行するなかで、コメ先物が復活しようとするときに、その受け皿となる東穀ビルは解体されている。これは、たんなる象徴でしかないが、商品取引員業界が事実上、潰滅しようとしていることとの符号は何を意味しているのだろうか。不招請勧誘が禁止され、損失限定取引のようなものが一般投資家の勧誘対象とされる環境となった時点で、コメ先物の試験上場が認可されるとなれば、そのことにこそ因果関係があると考えるのが自然ではないだろうか。いま、あらためて足元をみてみると、業界は一般(個人)の金融資産を動員する能力を著しく欠いていることが分かる。一連の規制強化はこれが目的だったということになるのではないか。それでも、商品取引員というビジネスを完全に葬り去ることはできないし、このビジネスの回路を抜きに国内の商品先物市場が回復し、機能することは決してあり得ないのである。

 

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