WGC、26年Q1金需要の価値が最高 投資過熱で1930億ドル

 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が公表した2026年第1四半期(1~3月期)の世界金需要動向によると、場外取引(OTC)を含む総金需要は前年同期比2%増の1231トンに達し、価格高騰を受けて需要価値は過去最高の1930億ドルに膨らんだ。LBMA金平均価格も1オンス4872.9ドルと最高値を塗り替えた。供給面も、鉱山生産(885トン)とリサイクル(366トン)が共に伸び、総供給量は2%増の1231トンに達した。

 投資需要は、宝飾品の低迷を補う形で市場を牽引している。地金・コイン需要は前年同期比42%増の474トンと、13年以来の高水準を記録。特にアジアが主導し、中国は同67%増の206.9トンと過去最高を更新。地金需要が宝飾品(85.2トン)を大きく上回る「投資シフト」が鮮明となった。インドも34%増の62.3トンと急伸した。金ETFは62トンの流入超となったが、3月に米国ファンドから大量流出があり、前年同期の229.9トンからは大幅に縮小した。

 宝飾品需要は、記録的な高値が消費を抑制し、数量ベースでは前年同期比23%減の299.7トンと2020年以来の低水準に落ち込んだ。一方、支出額ベースでは同31%増の470億ドルと過去最高を記録。国別では中国(32%減)やインド(19%減)が軒並み減速したが、日本は準投資向けのチェーン需要などが下支えし、前年同期並みの3.0トンを維持した。

 公的セクターでは中央銀行による買い越しが続く。純購入量は前年同期比3%増の244トンに達し、ポーランドやウズベキスタン、中国が積み増しを主導した。地政学的リスクへの備えとして、安全資産である金の重要性が改めて意識されている。一方でトルコ(約70トン売却)やロシア(22トン売却)などは、外貨管理や流動性確保を目的とした売却に動いた。

 テクノロジー分野は、AIインフラ拡大を背景に前年同期比1%増の82トンとなった。特にAIサーバー向け高性能チップ等の電子工学分野が好調で、台湾や韓国、米国で需要が成長。一方、消費者向け電子機器比率が高い日本や欧州は、価格高騰に伴う代替化の影響で低迷した。

 今後の展望についてWGCは、地政学リスクや米連邦準備制度理事会(FRB)の体制移行に伴う不確実性が、中銀の購入や投資需要を下支えするとみる。投資需要は底堅さを維持する一方、宝飾品は高値が数量ベースでの重石となり、リサイクル供給は中東の物流混乱や精錬能力の制約に左右される見通しだ。

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