金需給レポート2024年通年、森田氏が解説=北浜投資塾

北浜投資塾は、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の金需給レポート『ゴールド・デマンド・トレンド』に基づいた2024年通年の分析を動画で公開した。講師に森田隆大氏(森田アソシエイツ代表)を招き、金市場の動向について詳しい解説が行われた。

2024年の金価格は1オンス当たり2386ドルと過去最高を記録し、前年比23%上昇した。金価格の上昇にも関わらず、世界の金需要は数量ベースで1%増加、金額ベースでは24%増と過去最高を更新した。また、中央銀行の金購入量は3年連続で1000トンを超え、引き続き高い水準を維持していることが強調された。

分野別では、宝飾品需要が価格高騰の影響を受け数量ベースで9%減少した。一方、金額ベースでは12%増加し、購買意欲が一定程度維持されていることが示された。特に中国の宝飾品需要は前年比24%減と大きく落ち込んだが、地金・コイン需要は20%増加し、経済不安や人民元安がその背景にあると分析された。また、インドは相対的に堅調で、宝飾品と地金・コインの合計で5%増加している。

ETF(上場投資信託)の動向についても触れられ、2023年の大幅な流出(244トン)に対し、2024年は77トンの流出にとどまったことが全体の需給を下支えする要因となった。さらに、AI関連需要や家電市場の回復を背景に、テクノロジー用途の金需要が前年比7%増加した点もトピックとして挙げられた。

供給面では、鉱山生産量が過去最高を更新し、安定した供給が続いていることが確認された。リサイクル供給も価格高騰の影響で11%増加したが、金保持者が売却を控える傾向が強まっているため、過去と比べ化学的弾力性が低下していると指摘された。

森田氏は、「需給の基盤に大きな変化は見られないが、特に投資需要が高水準で推移していることが金価格を支える要因となっている」と総括。この講義動画は市場関係者や投資家にとって、金市場の現状を深く理解するための有益な情報源となっている。

 

『ゴールド・デマンド・トレンド』~2024年通年~
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