関税懸念で米国に金流入、COMEXの金在庫が急増=WGC

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は27日、米国の関税強化への懸念から金市場に混乱が生じているとの分析レポートを公表した。Juan Carlos ArtigasとJohn Readeの両氏が執筆したこの報告によると、2024年後半から米国先物取引所COMEXの金在庫が急増し、先物価格と現物価格の乖離が拡大している。

米国では金輸入に直接関税が課されていないものの、広範な貿易政策への不安から投資家の行動に変化が生じた。COMEX登録在庫は約300トン、適格在庫は500トン以上増加。合計約800トンの増加となり、これはパンデミック初期以来の規模だ。通常、米国は金の生産国でもあり消費国でもあるため、自国の需要をほぼ賄えるとされるが、関税導入の可能性から金融機関が事前に金を米国に移動させる動きが広がった。

COMEX金先物価格と現物価格の乖離は一時1オンス当たり40~50ドル(140~180ベーシスポイント)に達し、過去2年間の平均13ドルを大きく上回った。一方、ロンドン市場では金在庫が減少し、イングランド銀行からの金引き出しに遅延が発生。この結果、金のリースレートは2025年1月に5%という高水準に達した。

WGCの分析によると、米国への金流入はスイス経由で行われていることが多く、一部はロンドンから再精製された金が含まれる可能性がある。ロンドン市場の金在庫は減少したものの、現在約8500トンと依然高水準を維持している。イングランド銀行での引き出し待ちが報告されているが、これは物流上の問題で実際の金不足を示すものではないとしている。

市場は徐々に正常化の兆しを見せており、COMEXへの金流入ペースは鈍化し、先物と現物の価格差も縮小。金ETF(上場投資信託)の売買スプレッドも落ち着き、貸出金利も1月の記録的高水準から約1%まで低下した。

WGCは「金市場の厚みと流動性は時間をかければこうしたショックを吸収できる」との見方を示す一方、「地政学的リスクが高まる現在の環境では、今後も一時的な市場の歪みが発生する可能性がある」と警告している。

 

You asked, we answered: Is the threat of US tariffs moving the gold market?
The gold market has seen a significant rise in COM...
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