寒波で電力先物市場が活況、2月取引高が前月比約2.4倍と急増=TOCOM

2025年2月、日本全体を襲った寒波が電力市場に活況をもたらした。東京商品取引所(TOCOM)の電力先物市場では、月間取引高が3,085枚を記録し、前月比で約2.4倍増となった。スポット市場も西日本を中心に価格が上昇し、需給の逼迫が市場全体に波及した。

寒波の影響で、全国的に気温が急低下、西日本で特に冷え込みが顕著だった。これにより、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格は全9エリアで前月を上回る結果に。とりわけ関西エリアを中心とする西日本の価格上昇が顕著で、冷暖房需要が市場価格の引き上げ要因となった。

TOCOMにおける電力先物取引では、2月限の東エリア・ベースロードが14.59円、西エリアが14.46円で決済された。寒波による需要の増加と、西日本地域における太陽光発電の供給比率が低いことが、価格のボラティリティを高めた要因と指摘されている。一部の市場関係者は「気象リスクへのヘッジ需要が増加している」と分析する。

取引高の急増には、まとまった大口取引の増加も寄与している。立会内外で100枚以上の取引が複数確認されるなど、ヘッジ需要の高まりが背景にある。特に2月中旬には東エリア・ベースロードの2月限で計700枚を超える取引が成立した。

燃料価格の動向も市場に影響を与えた。原油やLNG、石炭などの基幹燃料価格は2月末時点で軟調に推移する一方、燃料費調整単価は上昇基調にあり、3月以降の電力料金への影響が見込まれる。全国の電力需要は前年比7.8%増、西日本では二桁増の地域も多く、寒波の影響が需要を押し上げた。

市場分断の頻発も課題として浮上した。中国-四国間で発生した分断回数は748回に上り、中国-九州間と合わせて西日本エリアで日中時間帯を中心に分断が多発。需給バランスの調整が難航している現状が浮き彫りになった。

 

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