大阪取引所が2026年4月13日に上場予定の通貨先物に関する詳細レポートが、このほど北浜投資塾Professionalに掲載された。海外投資家の為替ヘッジ需要への対応を背景に、米ドル/円など3通貨ペアで開始。取引所取引ならではの利便性を訴求する。
同レポートによると、金融取引のグローバル化進展が新市場創設の主因だ。JPX上場デリバティブ市場では海外投資家比率が着実に増加しており、2024年の日経225先物や金先物では年間取引高の7割超を占めた。国際化の進展に伴い、為替リスク管理手段の拡充が急務となっている。
上場する通貨ペアは米ドル/円、中国オフショア人民元/円、ユーロ/円の3種類。中国オフショア人民元の採用は、アジア市場での存在感拡大を狙った戦略。取引単位は150万~200万円程度と、既存商品との組み合わせを重視した設計だ。
新商品の特徴は5つの利便性にある。既存プラットフォームでの取引可能性、ISDA契約不要、カウンターパーティーリスク削減、証拠金軽減効果、円建て完結取引。特に中小投資家にとって参入障壁の大幅な低下となる。外貨調達コストの排除により、投資家負担の軽減効果も期待される。
流動性確保策では既に10社以上のマーケットメイカーが参入意向を表明。海外の通貨先物市場で実績のある業者からの関心が高く、国際競争力のある商品設計への評価を示す。取引振興策として手数料無料化も検討中で、シカゴ商品取引所など海外大手を意識した競争戦略が鮮明だ。
通貨先物市場の創設は、JPXの総合取引所化における重要な一歩となる。アジア時間帯での通貨ヘッジ手段提供により、シンガポールや香港との地域競争でも優位性確保を目指す。26年4月の開始で、日本の金融インフラがさらなる高度化を遂げることが期待される。