日本取引所グループ(JPX)は27日、新たなイメージCMの公開を始めた。物語形式で金融市場の役割を平易に解説する。新NISA(少額投資非課税制度)を追い風に、投資家層の裾野拡大へ本腰を入れる。
新CMは俳優の黛英里佳氏と松林慎司氏を起用した3部作。幼馴染の二人の人生を通じ、JPXが担う多様な機能を段階的に紹介する構成だ。「貯蓄から投資へ」の流れが加速する中、金融リテラシーが多様な新規投資家層との接点を強化する狙いが鮮明だ。市場インフラを担う立場から、投資への心理的ハードルを下げる狙いがある。
第1編では、女性起業家が株式上場で夢を叶える姿を描く。株式を「企業を応援するチケット」と表現し、投資の社会的意義を分かりやすく伝えた。これは投資の第一歩を踏み出す個人への強いメッセージといえる。
第2編はデリバティブがテーマ。海外事業で直面する金利や原材料価格の変動リスクに対し、先物取引などを活用したリスクヘッジの有効性を示す。個人の資産防衛だけでなく、企業の安定経営にも資する市場機能のアピールだ。株式投資から一歩進んだ、より高度な金融知識の啓蒙へと繋げる狙いだ。
第3編はデジタル技術の革新に焦点を当てた。AIによるビジネスマッチングや、スマートグラスでの情報収集など、JPXが推進する「総合金融プラットフォーム」構想の未来像を描く。取引の場としての機能に留まらず、データと技術で新たな価値を創出する企業への変革を印象付けた。
証券各社がNISA口座獲得競争を繰り広げる中、JPXは市場全体の意義を説くことで差別化を図る。難解な金融の役割を物語に昇華させる今回の試みは、国民的な資産形成を支えるという、取引所としての強い意志の表れ。市場全体の活性化に向けた新たな一手となる。

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