農林水産省が3月24日発表した米先物取引のシーズンレポート(2025年12月~26年2月)によると、米穀市場は現物の品薄感を背景とした期近の騰貴と、新米出回り後の軟化を織り込む期先の停滞という「逆ザヤ」構造が鮮明となった。先物出来高は微増し、価格変動リスク回避の動きが強まっている。
現物市場の過熱は歴史的な水準に達している。2025年産米の相対取引価格は年産平均で3万6310円と、前年の2万5179円から44.2%上昇した。需給逼迫への懸念が根強い中、当四半期の米穀指数先物取引の合計出来高は2万222枚を記録。前四半期の1万9837枚から1.94%増加しており、価格変動リスクを回避しようとする実需者と投資資金の流入が、市場の流動性を下支えしている格好だ。
当期間の先物価格は、直近の現物需給を反映する期近限月が激しい値動きを伴って推移した。25年12月限は3万7810円、26年2月限は3万6270円でそれぞれ最終決済を迎えている。市場の熱度は高く、26年4月限は取引開始以来14回、8月限も5回のストップ高を記録しており、値幅制限一杯まで買い進まれる局面が頻発した。一方、期先の26年12月限は1月の取引開始から緩やかに値を下げ、2月末には2万6960円まで下落。新米への切り替わりを機とした価格調整への期待が、期先限月の重石となっている。
参加者属性は、SBI証券、日産証券、豊トラスティ証券の上位3社が突出しており、出来高・建玉の過半を占める。2月末時点の売建玉において、当業者の比率は18.4%に留まるのに対し、非当業者は81.6%に達した。現物価格が3万6000円を超える異常高値圏にある中、投機筋を中心とする非当業者は将来の価格剥落を見越した売りを主導しており、現物市場の強気判断を冷ややかに突き放す構図となっている。売建玉の43.3%、買建玉の44.1%を大口保有者が占め、市場の透明性は一定程度確保されている。
現物市場では需給の目詰まりが価格を押し上げる歪な構造が露呈している。26年2月の相対取引価格(速報値)は全銘柄平均で3万5056円と、前年同月の2万6485円比で32.4%上昇した。秋田産「あきたこまち」が3万7749円(前年同月比47.3%増)、新潟産「コシヒカリ」が3万7744円(同46.4%増)と高騰。集出荷業者の在庫量DIは前年同月比11ポイント増の「87」に達する一方、需給判断DIは「26」と極端な締まりを示しており、在庫が存在しても実需への流動性が枯渇しているボトルネック現象が相場を吊り上げている。
米価の記録的高騰は消費行動を変容させている。家計調査によれば、26年1月の米購入数量は3.4キログラムと、前年比で9.3%減少した。消費者物価指数(CPI)における「米類」は219.2に達し、前年同月の171.3から27.9%上昇。2月の小売価格はコシヒカリが5197円(19.1%増)、その他銘柄が4989円(17.7%増)と、5000円前後の高値が家計の重荷となっている。
26年2月時点の向こう3ヶ月の需給判断DIは前回比2ポイント上昇の「やや増加」に転じ、極端な品薄感は峠を越えつつある。しかし、先物市場の期先限月が現物相場を1万円近く下回る2万6000円台で推移している事実は、市場が26年産米の供給開始後の劇的な価格調整を確実視していることを物語る。現在の歪んだ需給認識が是正された際、現物相場は先物市場が先行して示唆する水準へと急落する、ハードランディングのリスクを孕んでいる。

